233: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:22:41.11 ID:LvNYVq+e0
「年もわたしと同じくらいだし最初はミカだって気付かなかったんですけど……話をしてるうちに段々と」
「とはいっても、信じるまで1週間くらいかかりました」
「ミカ、はぐらかすばっかりで全然話をしてくれなくて」
「そういうところもミカっぽいなとは思ったんですけど」
234: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:25:17.18 ID:LvNYVq+e0
「あ、でも、今日ここに来れたのはミカのおかげでもあるんです。いつの間にかミカが、あの、代表さんと話をつけてて」
ぽろろろーん。
多少、年は取っても、ミカはミカ。中身に変わりはないらしい。
235: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:25:58.25 ID:LvNYVq+e0
「あの、それで一番訊きたかったことなんですけど」
柿葉さんは、こちらを真っ直ぐ捉え、言葉を吐き出した。
「アンチョビさんが元の世界へ帰る方法、わかりましたか?」
236: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:28:05.16 ID:LvNYVq+e0
ふいに、ミカがすっと立ち上がる。
「ど、どうしたのミカ?」
ミカはカンテラを手に部屋の扉の方へ歩いていくと、
237: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:30:09.53 ID:LvNYVq+e0
2018年3月18日。日曜日。
早朝に目を覚ました俺は、もう起きてるかな、と遠慮がちにアンチョビの部屋の扉をノックした。
中から現れたアンチョビは「遅いぞ戸庭っ!」と叫び、すでに身支度を整えていた。
238: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:32:13.03 ID:LvNYVq+e0
アンチョビの登壇は11時半過ぎからだった。キャストトークショーの直前だ。
それまでは屋台の辺りで飲んで食ってしているつもりだったのだが、アンチョビに寄ってくるファンの数が膨大になり収拾がつかなくなったため、一旦、テントの中へ避難することとなった。
代表は「そりゃそうですよ」と笑い、アンチョビに深めの帽子とサングラスを用意してくれた。
239: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:33:53.47 ID:LvNYVq+e0
やがて出演のためにアンチョビがテントを出て行く。
俺も外で見物しようとテントを出た。
人混みから外れて、よく見える場所はないかなとぶらついていると、ミカと柿葉さんを見つける。
そして横には、何故か監督が立っていた。
240: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:34:55.39 ID:LvNYVq+e0
「戸庭さん。その後、どうですか」
「あぁいえ、監督のおかげで順調です。こうしてステージにも上がらせてもらえてますし」
「それは良かったです。頑張ってください。私も頑張ります」
241: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:38:31.05 ID:LvNYVq+e0
『あー、あー、あー、あー、マイクの調子は良いな!』
『やあ、みんな、こんにちは! 楽しんでるか!?』
『アンツィオ高校で戦車道の隊長を務めていた、私の名はアンチョビだ!』
大きな歓声が上がる。
242: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:40:56.51 ID:LvNYVq+e0
雰囲気をしんと変え、アンチョビは再び口を開く。
『私は、この世界の人間ではない』
『おそらくはガルパンの世界からやってきたんだと思うんだが、本当のところはよくわからない』
『確かに私の頭の中には、アンツィオや大洗や、黒森峰や継続の、他にもたくさん』
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