163: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:20:00.07 ID:/cdPx5HI0
「ええ、どこの店?」
「食べに来るか? 隣駅のイタリア料理店だ!」
――まったく、すごい行動力だなあ。
164: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:23:06.52 ID:/cdPx5HI0
2017年12月22日。金曜日。
監督と約束した場所は、荻窪の小さな食事処だった。
時間は夕食時の午後19時。
それまで俺とアンチョビは、延々と家でガルパンを1話からぶっ通しで観賞した。
165: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:24:35.56 ID:/cdPx5HI0
おばちゃんに、店内の左手に位置する階段を案内され、「ありがとうございます」とアンチョビと二人でそれを上がる。
正面のふすまをノックして中へ入ると、40代くらいの男女が下座に座って談笑をしていた。
両方の顔に見覚えがある。
女性の方は脚本、そして男性の方がガルパンの監督だ。
166: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:25:56.94 ID:/cdPx5HI0
監督はアンチョビの顔を眺め、興味深げに、
「あぁ実際に観ると動画よりもホンモノ感が増しますね。当たり前なんですけど」
「失礼ですよ」
167: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:27:30.48 ID:/cdPx5HI0
「嬉しいですね。ありがとうございます。何飲みます?」
監督からアルコールのメニューを差し出される。
ちらりとアンチョビへ目線を送ると、彼女は口角を上げた。
168: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:29:17.02 ID:/cdPx5HI0
「事情は聞いています。我々に訊きたいことがあると」
「私個人としても強い興味があったので、お願いして今日の場を設けてもらった形になります」
「じゃあ、まずはアンチョビさんの置かれている状況を詳しく教えていただけますか」
「あぁいえ、一部聞いてはいるんですが、なにぶん伝聞なので、実際に耳にしないとわからない部分もありますから」
169: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:30:56.38 ID:/cdPx5HI0
「ガルパンのアニメの大筋は、基本的にはこの二人の頭の中から出てきています」
「ちなみにアンチョビというキャラクターに関しても、最初のアイデアは私ですが、肉付けをしていったのは――」
「私ですね」
170: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:32:22.88 ID:/cdPx5HI0
俺が愕然としていると、脚本が「少し訂正しておくと」と口を挟む。
「考えていないというのは語弊があって、もちろん大筋は決めてあるんです」
「しかし、細部の設定は今後詰めていく部分も多々ありますし、進行のなかで変更が入ることもあるでしょう」
171: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:34:51.12 ID:/cdPx5HI0
「まぁ来ていただいたんですし、誠意としてこちらもお話しましょうかね?」
「そうですね。貴女がたを信用してお話します。絶対に、他言無用でお願いしますよ」
監督の言葉に、脚本が続ける。
172: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:36:43.70 ID:/cdPx5HI0
ぐびぐびとビールジョッキを飲み干して監督が繋げる。
「まぁなんといいますか、私たちからはこれ以上情報は出せませんからね。アプローチを変えてみるのはどうでしょうか」
「アプローチ、ですか」
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