54: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/07(火) 21:49:15.17 ID:e4n5peSk0
【四 溺れる聖母は罠をも掴む】
・それからしばらくたった後。
・劇場セキュリティスタッフ待機室。
・その中央、背もたれのある椅子に紐で束縛されたPと、
55: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/07(火) 21:50:39.09 ID:e4n5peSk0
P「……とはいえ、どうしてそんな恵美は早々に釈放されて」
P「俺の方はこんな場所に……。しかも体の自由も奪われて」ギシギシ
56: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/07(火) 21:52:12.73 ID:e4n5peSk0
===
そうして朋花は、何かを考え込むようにその指を自身の顎へ添えた。
視線はリタンガルヤの容器が置かれたテーブルの上に向いている。
57: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 05:51:19.57 ID:4VsaTvqw0
「もう少し近づいてみましょうか〜」
口調は普段と変わらないが、その顔には男だけに理解できる僅かな緊張感があった。
58: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 05:52:31.27 ID:4VsaTvqw0
「普段通りの、甘い匂い」
「は?」
59: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 05:54:01.94 ID:4VsaTvqw0
「朋花の予測じゃ、効果はもう切れてるんだよな?
だったら俺から良い匂いがするだなんて、随分おかしな話じゃないか。
……分かるだろう? まだソイツの効き目は切れちゃいない」
60: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 11:31:34.42 ID:4VsaTvqw0
必死に弁解する男の脳裏であの時のやり取りがフラッシュバックする。
そうして、彼の変化した鼻の下を見逃すような朋花ではない。
「プロデューサーさん? 嘘をつくと〜」
61: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 11:32:49.91 ID:4VsaTvqw0
――観念した男から事の顛末を問いただすと、
天空橋朋花は聖母らしからぬ表情でプロデューサーを見つめていた。
それも厄災の種といえるリタンガルヤの醤油さしを手に持って。
62: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 11:33:40.33 ID:4VsaTvqw0
ふふっ。少女の口角が鋭利に上がる。
醤油さしの口先から滴った数滴の液体が男の服に染みを作る。
「あら大変」これ以上ない白々しさで朋花が頬に片手をやった。
63: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 11:35:06.47 ID:4VsaTvqw0
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【五 遅出の莉緒は後の祭り】
その日、どうしても外せない用事があったために、
64: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 11:36:28.52 ID:4VsaTvqw0
「ねぇ皆、私が来る前に何かあった?」
だが、莉緒の質問に答える者は誰もいない。
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