58: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/08/08(水) 05:52:31.27 ID:4VsaTvqw0
「普段通りの、甘い匂い」
「は?」
「人を落ち着かせる匂い。私を裸にするような、憎らしい程不思議な香り……」
きゅっと、朋花の唇が結ばれる。
少女は悩まし気な溜息を一つつくと、まるで羨むような目つきで眼前の男を捉え。
「……今言った事は誰にも秘密ですよ〜」
「わ、分かってる。何にも聞いちゃないさ。だからそんなに睨んだりしなくても」
しかし朋花は、ジッと押し黙ったままで答えはしない。
これはもしやと男の額に汗が伝う。
二人はそのまましばらく見つめ合い、少女が意を決したように行動の兆しを見せた時だ。
「と、朋花」
今度ばかりはプロデューサーが先手を打った。
名前を呼ばれたことでピタリと動きを止める少女。
牽制された聖母は反射的に、相手を慈しむような笑顔を浮かべ。
「……何でしょうか〜?」
「リタンガルヤについてだけど、確認したい事が一つあるんだ」
確認したいこと? と朋花が訝しそうに首を傾げる。
プロデューサーはそんな彼女に疑問を持たせまいとするように「そうだ」と言葉を続けると。
67Res/45.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20