11:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:43:32.65 ID:420CtvZa0
“それ”が起きたのは、領収書の山がようやく三分の一くらいは減ったかなぁという頃合いでした。
伊織 「──ちょっといいかしら」
12:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:44:29.69 ID:420CtvZa0
それでなくたって、普段は見れない二人の、とーっっっても貴重な絡みなんです。それを放っておいて仕事に戻るなんて、そんなもったいない事できますか!?いいえ、私にはできません!
それに、もしもですよ?もしも万が一にも気まずくなったりしちゃったら、間に入って何とかするのが、お姉さんである私の義務でしょう!?えぇ、義務でしょうとも!
13:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:48:02.52 ID:420CtvZa0
さて、そ〜っとパーテーションの陰から覗きみると、ちょうど楽譜を置いた千早ちゃんが、伊織ちゃんの方へと向き直った所でした。
ふ〜良かった〜、初めからじっくりと見れちゃうわね。ちょっと不謹慎ですけど、だんだんワクワクしてきちゃいました。この胸の高鳴りが聞こえちゃわないか心配なくらいです……なんて♪
14:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:50:38.74 ID:420CtvZa0
千早 「………………ぇっと」
それは千早ちゃんも同じだったみたいです。目を真ん丸にしてましたけど、すぐに気を取り直して話しかけます。
15:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:52:40.75 ID:420CtvZa0
勿論、そんな私を他所に話は続きます。
千早 「……貴女が突然そんな事を言い出した理由を、聞いてもいいかしら?」
伊織 「理由?そうね……」
16:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:54:15.73 ID:420CtvZa0
さっきまでの私のワクワクは、これから一体どうなっちゃうのかしらというハラハラに変わっていました。
ああ、お茶でも持って行って間に入るべきかしら、それとも、もう少しこのまま様子をみておいた方が……と、焦り逡巡する私を余所に、当事者である二人はどこまでも落ち着いていました。
17:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:54:56.89 ID:420CtvZa0
それを見て私は、
──何だかいつもの伊織ちゃんらしくないな。
漠然とではありますけど、そのように感じました。
18:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:56:24.86 ID:420CtvZa0
伊織 「……ああ、そうそう。それともう一つ」
指を一本ピンと立てて、いかにも『今ちょうど思い付いた所だけど──』みたいな体で言葉を続ける伊織ちゃん。
19:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:57:52.44 ID:420CtvZa0
うふふ、やっぱり伊織ちゃんは伊織ちゃんでした。
問題は、千早ちゃんが気づいたかどうかですけど……優しい彼女の事です、きっと大丈夫でしょう。
この言葉を聞くと、千早ちゃんはひとつ大きく頷き、ゆっくりと顔を上げました。
20:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:00:15.59 ID:420CtvZa0
千早 「ねぇ、“水瀬さん”」
伊織 「……何よ」
──“水瀬さん”。
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