リボンに願い込めるValentine【ミリマス】
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:03:43.26 ID:P2hx7BeN0
「あれ? 天空橋さんその分量は違うんじゃ」
「大丈夫ですよ、私の作るチョコレートは二人が作るものとは別ですから、私がチョコを渡したい相手は少し面倒な人ですからね〜」
「面倒……?」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:04:12.15 ID:P2hx7BeN0
「ラッピングも終わり、これで完成なのです」
目の前に置かれいる、いくつもの綺麗に包まれたチョコレートたち。 お菓子作りなんて私に無縁のものと思っていたけれど、作ってみると案外これは私向きの地味で事務的なものだった。 これなら来年は私一人でもやれそうだ。
「それじゃ姫からプロデューサーさんにひとつ」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:04:44.85 ID:P2hx7BeN0
「それなら私も、いつもお世話になっています」
「ううん…… その渡し方は30点というところでしょうか」
「えっ?」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:05:12.94 ID:P2hx7BeN0
「バレンタインはこれからが本番です。 もしかしたらこの後貴女にとってとても苦しいことが起きるかもしれません」
「だけど逃げたりしないでね、彼女からも自分からも逃げずに向き合って、後悔だけは絶対にしちゃダメだよ?」
えっと……
16:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:06:54.37 ID:P2hx7BeN0
徳川さんと天空橋さんに手伝ってもらって、何とか手作りチョコレートを用意出来て、ついにバレンタイン当日。
まずは首尾よく社長さんや音無さん、青羽さんに渡すことは出来た。 ある意味予想通りだけど、誰からもチョコを手作りしたことを驚かれた。 少し前の私でも、私がチョコを手作りしたことを知ったら同じ反応すると思う。
伊吹さんと所さんにも渡そうと思っていたけど、二人とも他のアイドルの子たちと遊びに出掛けていったらしい。 まぁ無理に今日渡す必要も無いか……
17:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:07:23.31 ID:P2hx7BeN0
やはり私は事務仕事人間のようで、仕事を始めると時間もチョコも忘れ、黙々と作業に打ち込むことが出来た。
人と向き合わない仕事は楽、PCは人と違って自分が思った通りに動いてくれるし、気を使う必要だってない。
あぁ…… 結局こういう人なんだな私は、自分の心の中は誰にも見せたく無い、それなのに他人の思考が見えないのは許せなくて、そして怖い。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:07:52.30 ID:P2hx7BeN0
一気に体温が下がる、血の気が引いていくのを感じる。 大きな取り返しのつかない失敗をしてしまった時のあの感覚。
しまった…… いい時間になったら百瀬さんに連絡してチョコを渡そうと思ってたのにもうこんな時間に……
急いで電話を取り出して彼女にメッセージを送ろうとして、自分を制止する。 こんな時間に彼女を呼び出しても迷惑に決まっている。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:09:05.10 ID:P2hx7BeN0
本当に……?
本当に、私はただ百瀬さんへの連絡を『忘れた』のか? 私の脳が高速回転を始める。 私を悪役にするために、私を追い詰めるために。
つまりこう。 私は百瀬さんにチョコを渡すのが怖いから、逃げたいからわざと連絡せずに約束を破った。 そしてそれを自分自身に『忘れた』と思い込ませて。
20:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:10:32.65 ID:P2hx7BeN0
「あ、やっぱりここに居た」
ノックも無く開けられる扉。 たった少し聞いただけで、それまでのめちゃくちゃだった気持ちを更にめちゃくちゃにしてくれる声。
「も、百瀬さん……」
21:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:11:03.13 ID:P2hx7BeN0
なんて、余計なことを考えている内にも百瀬さんは私にどんどん近付いてくる…… どうしよう……
「ねっ、どうしたの?」
「何でも…… 何でもないです……」
22:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:11:29.48 ID:P2hx7BeN0
耳で百瀬さんの声を受けとりつつも、私の意識は私の足元、急いで隠した鞄の中のピンクの小箱に向けられていた。 いったいどうやって渡せばいいのか。
然り気無くなんて出来ない、まっすぐ見つめて想いの言葉を添えるなんてもっと出来ない。
そんな私が選ぶ方法は、結局……
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