21: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:14:24.05 ID:BEFLqt5g0
『…誕生日、おめでとう!』
22: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:14:51.04 ID:BEFLqt5g0
「…………あ……ハイ………」
『日付が変わる前に、言えて良かったよ』
23: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:15:32.79 ID:BEFLqt5g0
それから私は、二人には話していない所まで彼にお話した。将来に対して抱えていた不安、夢がなかった事による焦燥、出会えてから見つかった目標。支離滅裂で、所々跳んじゃうけど、思いが止まらずあふれ出る。
「アイドルとして楽しい日々を送ることも出来て…だから…アタシ、Pさんには感謝しかないんスよ」
24: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:16:02.29 ID:BEFLqt5g0
『うん…うん、そっか』
私達は、もっともっとお話をした。この一年の、二人で過ごした時間の話。話していると、全てが懐かしくて新しくて、出来ることならもう一度、なんてことも思ってしまう。
25: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:16:38.46 ID:BEFLqt5g0
◆◇◆
比奈との通話が終わり暗くなったディスプレイを一瞥し、スマホを懐にしまう。それから、仕事用に椅子に座り直した。
26: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:17:37.23 ID:BEFLqt5g0
僕には、夢がなかった。正しく言えば、子供の頃からの夢に破れ、やりたいことが見つからなかったのだ。
成り行きでプロデューサーになった後、夢破れた自分を恥じ、過去に決別しようと思った。無理に一人称を変え、髪型を変え、口調を変え、自分を変えようとした。その全てが中途半端に終わった。我ながら情けなかった。
27: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:18:14.41 ID:BEFLqt5g0
それに、感謝しかないのはこっちだって同じだ。夢破れて何も無かった自分に、夢をくれたのは比奈なんだ。
「荒木比奈のプロデュース」という夢をくれたのは、他でもない、交差点で出会った彼女なんだ。あのときから、僕の人生は再スタートを切ったんだ。比奈みたいに弱い自分と向き合いたいと、心の底で思えるようになった。だから、お礼を言うのはこっちの方なんだ。
28: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:18:40.95 ID:BEFLqt5g0
◆◇◆
私は、ベランダで後悔をしていた。急にあんな事を言い出して、引かれてないかと言うこと。懸念していたはずなのに、なんだ、私は浮かれていたのか。浮かれていたな、うん。
29: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:19:37.77 ID:BEFLqt5g0
ここまでです、ありがとうございました。荒木比奈さん、誕生日おめでとうございます。総選挙はどうぞ皆様、よろしくお願いします。
「もう何もかも終わったんだな。通りで安らかな気分な訳だ」
「ああ、貴虎。あんたはもう十分すぎるほど苦しんだ。あんたが背負っていたのは、一人で引き受けるには重過ぎる荷物だったしな」
30: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:37:35.25 ID:BEFLqt5g0
元ネタは
モーターサイクルとセントエルモの火です
31:名無しNIPPER[sage]
2018/04/09(月) 23:13:25.83 ID:M+WjP53qO
乙
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