31: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:55:33.49 ID:X17K8DuQ0
少し行儀悪いけれど、コンビニの前でふたり、肉まんを頬張った。
ガラスから漏れる光は、いつのまにか夜闇を明るすぎるくらいに照らしていた。
緩んだ気持ちから、どちらともなく、ぽつぽつと話し始める。
32: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:56:09.22 ID:X17K8DuQ0
「東京に行ったら、おまけもいっぱいあるのかなぁ」
小さく細い呟きは、雪の静けさのせいではっきりと聞こえた。
33: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:57:23.32 ID:X17K8DuQ0
「ロマンはどこだーってやつだよっ」
「大人になって、お婿さんもらって、家業を継ぐなんてさ……」
34: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:58:59.48 ID:X17K8DuQ0
◇
35: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:59:54.74 ID:X17K8DuQ0
華やかで煌めく場所に自分も立ってみたかった。
その場所を見上げては、少しでも近づいているつもりだった。
ギターを抱えて、響く音を信じて鳴らす、そんな日々。
36: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:00:30.99 ID:X17K8DuQ0
――――――
―――
37: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:01:27.60 ID:X17K8DuQ0
日常が来なかったことは、僕の考え事を余計に増やす。
今日の教室は進路の話で持ち切りだった。
38: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:02:17.63 ID:X17K8DuQ0
「……忍?」
顔だけそちらを向けると、忍はいつもの雰囲気ではないことがすぐに分かった。
39: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:02:54.41 ID:X17K8DuQ0
「……どんな曲なの?」
それは変わった質問だった。どんなってなんだ。
40: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:04:03.27 ID:X17K8DuQ0
「あのね……えっと、うんと、あのね……」
「アタシ……あぁ、違くて」
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