工藤忍「おかしなうさぎは夢見て跳ねる」
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34: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:58:59.48 ID:X17K8DuQ0





 春休み直前。
 先生が配った1枚の紙に、僕は苦い想いが口中に広がっていくのを感じた。


 『進路調査』


 大学に行くのか、行くならどこの大学を希望するのか、そしてその先で何になるのか。

 この時点で真剣に将来のことを考えているやつが、どれくらいいるのだろう。
 この青森を出ていくという判断をできるやつが、いったいどれくらいいるのだろう。


 ど田舎に漂っているのは希望じゃなくて諦めだ。
 だいたいは、なんだかんだと諦めにあてられて、残ることを選択していく。
 僕もそのひとりであることに、何の感情もなかった。

 きっと最初からなれるものは神様が決めているんだ。
 学力的に行けそうな学校を適当に書いて、目標には公務員の文字を書き殴る。


 親はその紙を一瞥して、頑張れよの一言を投げただけだった。
 音楽家になりたいだなんて言った子どもの夢を親が覚えているはずもない。
 
 大多数に消えるような人生だっていいじゃないか。音楽はずっと趣味でやっていけばいいだろう。
 心のどこかで囁く声がうるさい。そんなことは分かってるんだよ。


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