森久保乃々「さよなら、森久保」
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90:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:49:20.92 ID:QxgIwWOp0

 施設内を放浪し、ステージ会場から遠く離れた果ての場所に、
 誰にも使われていなさそうなベンチを見つけ、私はそこで時間が経つのを待ちました。

 ライブ当日に離れのようなこの場所に来る人は、私くらいで、人の目はありませんが、
以下略 AAS



91:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:50:28.23 ID:QxgIwWOp0

 それから色々考えて、やはりライブに出ることは不可能だと判断したので、
 私は、ライブの時間になっても、ここでじっとしていよう、と決意しました。

 隠れはせず、それこそベンチにじっと座っているだけですが、
以下略 AAS



92:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:51:39.12 ID:QxgIwWOp0

 プロデューサーさんがやってきたのは、それから十七分後。私のライブ開始時刻の三十分前でした。

「森久保、こんなところにいたのか探したぞ」

以下略 AAS



93:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:53:45.42 ID:QxgIwWOp0

 席を立ち、ライブ会場へと歩き始めました。
 一歩進むことに、ピアスが、身体が、重さを増していきます。
 私はプロデューサーさんにばれないように、身体を引きずり歩きました。

以下略 AAS



94:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:55:39.89 ID:QxgIwWOp0

 再び揺れ始めた選択の中で、私は頭を抱え、その迷いを森久保は隠し、
 プロデューサーさんとライブ前の最終確認をしていると、
 出番一つ前の子のライブが始まり、あっという間に、終わりました。
 
以下略 AAS



95:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:57:40.56 ID:QxgIwWOp0

「人の視線が怖いんです。常に見られている気がして、常に試されている気がして、笑われている気がするんです。
 ステージに立ったらみんな、私の歌や踊りを見て、くすくすと笑い始めるに違いありません」

 浅はかな私は直前になって、自分の病気がいかに深刻かを告げ、この場を逃げようとしたのです。
以下略 AAS



96:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:59:14.05 ID:QxgIwWOp0

「緊張しやすい子だと思ってはいたが、森久保がそこまで人の視線に怯えているとは知らなかった。
 今まで気づかずに傷つけていたこともあると思う。許してほしい。それで、誤解せずに聞いてほしいんだが」

 プロデューサーさんは言葉に詰まりました。迷っているようでした。
以下略 AAS



97:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:01:13.65 ID:GJMDUn0X0

 そこは嘘でも、「誰も見ていない。気にするな」と言わなければならない場面で、
 この人は真逆なことを言いました。

 私は、その言葉が私の心に深い傷を与えるのではと身構えたのですが、
以下略 AAS



98:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:03:40.97 ID:GJMDUn0X0

「俺は森久保がアイドルになれると思った日からずっと、森久保を見てきた。
 思い出してみろ。ラジオの収録、服の撮影、いろいろなことを経験し、それを乗り越えてきたじゃないか」

「それは嫌々。森久保がやらないと他の人に、ひいては自分に迷惑がかかると思ったからやっただけで」
以下略 AAS



99:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:04:17.34 ID:GJMDUn0X0

 プロデューサーさんは私を信じている。

 心の中で繰り返し、呟きました。

以下略 AAS



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