74:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:09:19.05 ID:QxgIwWOp0
ライブまで二週間を切ると、みんなが、「ライブ頑張って」と私に声をかけ、
私は、嫌なんですけど、と心の中で叫びながら、森久保の笑顔を作り、
75:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:13:00.68 ID:QxgIwWOp0
その笑顔に何も言い返すことが出来ず、何が大丈夫なのだと、ひとり不安と恐怖を抱えていると、
いよいよライブ前日の夜になってしまい、逃げ場のなくなった私は、ノートを開き、
こうして自らを告白するような文章を書くことで、
いかに自分がライブを嫌がっているか、アイドルに向いていないのかを正当化させようとしているのです。
76:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:14:24.90 ID:QxgIwWOp0
◇◇◇◇
◇◇◇◇
77:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:16:45.43 ID:QxgIwWOp0
暗闇の中、意識がやってきて、
私は、すぐさま、ついに来てしまったと、今日という日を呪いました。
目を開くと一日が始まってしまう気がして、開くのをうんうんと躊躇ってみたのですが、
78:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:29:34.64 ID:QxgIwWOp0
「乃々ちゃん今日のライブ頑張って」
社交辞令のような声援をかけてくるアイドルの先輩方に、
「ありがとうございます」
79:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:34:54.68 ID:QxgIwWOp0
事務所ではたくさんの人がライブに向けての来る準備をしていました。
アイドルとプロデューサー。
80:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:36:30.60 ID:QxgIwWOp0
キノコさんが隣から私の元へと駆けつけたのは読み始めてすぐのことでした。
「大丈夫か? ボノノさん、緊張とかしていないか?」
81:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:37:11.02 ID:QxgIwWOp0
やがて、キノコさんが隣の机に帰る頃には、抱いた怒りの感情は煙のように消えていて、
代わりに、後悔や罪悪感が私の心に渦巻いていました。
キノコさんに悪意がないことはわかっています。
82:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:38:06.21 ID:QxgIwWOp0
それからは一人、机の下で、昨日書いた文章を思い出しながら、
罪の告白のようなものを繰り返しました。
思い出されるは、様々な人の視線と笑顔。それに対しての自分の反応。
83:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:40:28.61 ID:QxgIwWOp0
永遠にも思えた懺悔の時間も無情に過ぎていき、やがて、プロデューサーさんが私を迎えに来ました。
「おはよう森久保、調子はどうだ?」
「帰りたいんですけど……」
84:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:41:42.45 ID:QxgIwWOp0
ライブ会場へと着くといよいよ息が苦しくなっていき、あいさつ回りが終わるころには、
「大丈夫か、森久保」
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