83:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:40:28.61 ID:QxgIwWOp0
永遠にも思えた懺悔の時間も無情に過ぎていき、やがて、プロデューサーさんが私を迎えに来ました。
「おはよう森久保、調子はどうだ?」
「帰りたいんですけど……」
プロデューサーさんは森久保の様子を見て、その調子なら大丈夫だと小さく笑い、
「そろそろいこうか、時間だ」
と私の手を引きました。
会場へと向かう車の中、私はまるで、重罪を犯し、刑務所へと押送される罪人のような心もちでした。
他者と上手くかかわれない罪で、送り込まれる先が刑務所だったらどんなに良かったことでしょう。
実際はライブ会場で、私はこれから歌と踊りを披露しなければなりません。
窓の外には三月のいつもどおりの世界が広がっていました。
鳥は鳴き、学生やサラリーマンたちがそれぞれの行き先へと歩いている。
ゴールへと向かう途中に、ついでにとでも言わんばかりに、車の中の私を見て笑っている。
それは今朝見た、カラスが群がる光景を思い出させました。
窓ガラスに映る水色のピアスが光り物のように、鈍く存在感を放っていました。
166Res/111.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20