40: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:07:40.17 ID:VWwRAsjo0
ふと森で風が吹きました。
その風は穏やかに草木を揺らし、自然の夜気をたっぷり含んで会社の廊下に流れ込んできます。
なんだか何かの花のような、とても安心する匂いがしました。
41: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:08:48.81 ID:VWwRAsjo0
「芳乃ちゃん、楓さん! 何が起こったかわかる!?」
二人と兎さんは比較的落ち着いていました。
42: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:18:00.46 ID:VWwRAsjo0
「しかしながらー、少々困ったことになってしまっておりますー」
「扉は放たれ、眠りの夜気は外界へと解き放たれてしまいましてー」
43: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:31:26.32 ID:VWwRAsjo0
入るのは私と紗枝ちゃん、そして美嘉ちゃん。
兎さんが先に立って道案内をしてくれます。
44: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:32:42.36 ID:VWwRAsjo0
空を見上げれば、確かに月。
蒼く照らされた梢が揺れて、さわさわと音を立てています。
45: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:35:12.62 ID:VWwRAsjo0
『――――こほっ……』
静かな夜空に、鈴を鳴らすような声が響き渡ります。
46: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:36:06.70 ID:VWwRAsjo0
『けほっ、けほけほっ』
竜巻が生まれ、木々が風の軌道にねじ曲がります。
47: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:36:43.63 ID:VWwRAsjo0
次の瞬間、
視界が一気に上昇しました。
――と、飛んでる!?
48: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:37:17.37 ID:VWwRAsjo0
「ぽこっ!(美嘉ちゃん、あそこ!)」
「うん、行くよ!」
急降下姿勢。だ、大丈夫なんでしょうかこれ!?
49: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:38:12.09 ID:VWwRAsjo0
あちこちで強くなった竜巻はもはや森すら破壊して、枝と言わず葉と言わず空にぶちまけています。
ひらひら舞う木々の残骸が宙で月を受けて、それらはまるで夜光虫のような光の靄を闇に投じていました。
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