35: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 22:46:11.31 ID:VWwRAsjo0
筋肉P「はっ! この今にも演歌が始まりそうに襖が開く演出は……!?」
楓「暗いのでもう晩酌時かと思いました、高垣です」
36: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 22:47:23.56 ID:VWwRAsjo0
「えーっと卵一つにお砂糖少々、ハチミツ大さじ一杯に牛乳もちょっと足して……」
給湯室には美嘉ちゃんが立ちました。
具体的な玉子酒の作り方を知っているのは一人だけだったのです。
37: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 22:49:45.42 ID:VWwRAsjo0
「茄子さんにはさ。事務所入ったばっかの頃、色々お世話になったの」
出来上がった玉子酒を断熱タンブラーに詰めながら、美嘉ちゃんは呟くように言います。
38: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 22:51:26.95 ID:VWwRAsjo0
美嘉「――お待たせ! そっちはどう?」
周子「うん、兎さんと芳乃ちゃんが頑張ってるとこ」
39: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 22:51:52.51 ID:VWwRAsjo0
扉の向こうにあるのは、仮眠室ではありませんでした。
ほんの六畳ほどのスペースにベッドがあるだけの部屋は、どこにもなくて。
40: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:07:40.17 ID:VWwRAsjo0
ふと森で風が吹きました。
その風は穏やかに草木を揺らし、自然の夜気をたっぷり含んで会社の廊下に流れ込んできます。
なんだか何かの花のような、とても安心する匂いがしました。
41: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:08:48.81 ID:VWwRAsjo0
「芳乃ちゃん、楓さん! 何が起こったかわかる!?」
二人と兎さんは比較的落ち着いていました。
42: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:18:00.46 ID:VWwRAsjo0
「しかしながらー、少々困ったことになってしまっておりますー」
「扉は放たれ、眠りの夜気は外界へと解き放たれてしまいましてー」
43: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:31:26.32 ID:VWwRAsjo0
入るのは私と紗枝ちゃん、そして美嘉ちゃん。
兎さんが先に立って道案内をしてくれます。
44: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:32:42.36 ID:VWwRAsjo0
空を見上げれば、確かに月。
蒼く照らされた梢が揺れて、さわさわと音を立てています。
45: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:35:12.62 ID:VWwRAsjo0
『――――こほっ……』
静かな夜空に、鈴を鳴らすような声が響き渡ります。
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