70:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:23:50.60 ID:2X1um2xF0
P「そうだ、僕も君ももう一度新しく生まれ変われるよ。傷ついて笑うのは金輪際もうやめにしよう」
ほたる(……というより、最初から抗う気持ちがなかったのかもしれません)
ほたる(プロデューサーさんに手を引かれ、CGプロダクションから私たちは抜け出しました)
71:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:24:17.21 ID:2X1um2xF0
ほたる(都心から電車を乗り継いで2時間弱)
ほたる(私とプロデューサーさんは東京の最西端の駅にいます)
ほたる(電車の中では、プロデューサーさんはいつも通りにほとんど無言でした)
72:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:24:44.49 ID:2X1um2xF0
ほたる「ここは……キャンプ場……ですか?」
P「…………」コクン
ほたる(駅から歩いて15分ほどでしょうか)
73:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:25:10.53 ID:2X1um2xF0
P「…………」
ほたる「あ、プロデューサーさん……」
ほたる(しばらくぼんやりしていたら、事務所から背負っているギターケースとバッグに加え、小さな薪や着火するための道具なんかも抱えたプロデューサーさんが戻ってきました)
74:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:25:36.90 ID:2X1um2xF0
ほたる(プロデューサーさんとキャンプ場の一角に陣取ると、そこでプロデューサーさんは傘が開いたような形に薪を組みました)
ほたる(私にも何か手伝える事はないかと思ったのですが、ものすごく手際よく薪を組む手つきを見ていると、邪魔になってしまうだけに思えました)
ほたる(こういう経験があるんですか、と尋ねてみたら、一度やってみたかったから手順を調べた、といったようなニュアンスの言葉を返されました)
75:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:26:06.85 ID:2X1um2xF0
ほたる「……プロデューサーさん」
P「……?」
ほたる「……ありがとうございます」
76:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:26:42.47 ID:2X1um2xF0
P「……どっかで陰が落ちれば、どっかに光は射すもの。どこに立っているかくらいで不幸せとは決まらねえ」
ほたる「…………」
P「昨日から雨は止まない、でも傘なんて持ってない」
77:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:27:11.42 ID:2X1um2xF0
ほたる「……何を燃やしたんですか?」
P「……出せなかった手紙」
ほたる(プロデューサーさんはそれだけを呟くと、次もバッグから、今度は小脇に抱えられるくらいの量の書類を取り出しました)
78:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:27:42.91 ID:2X1um2xF0
P「……燃えろ 燃えろ 全部燃えろ これまで積み上げたガラクタも」
P「そいつを大事にしてた僕も 奇跡にすがる浅ましさも」
P「雨にも負けて 風にも負けて 雪にも夏の暑さにも負けて」
79:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:28:21.85 ID:2X1um2xF0
ほたる(プロデューサーさんが歌い終わり、最後に大きくギターをかき鳴らした音が消えると、薪がパチパチと爆ぜる音だけが耳に響きます)
ほたる(多分、ですが……これが口下手なプロデューサーさんの精一杯の応援……なんだと思います)
ほたる(……プロデューサーさんの事ですから、もしかしたら本当はこういう事をやってみたかっただけ、という可能性もありますけど)
80:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 01:28:53.05 ID:2X1um2xF0
ほたる(それからしばらく、プロデューサーさんは気の向くままにギターを奏でていました)
ほたる(私はそれを聞きながら、たまにプロデューサーさんにそれはどんな曲なんですか、なんて質問をしていたりしました)
ほたる(そうしているうちに日が沈みかけ、焚き火の炎も燻り消えそうなほど小さくなりました)
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