30: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/19(火) 00:22:08.25 ID:2ZsS7dc10
軍師「かつての仲間が訪れた程度のことで、私を呼びつけないで頂きたいものだ」
黄金の廊下を歩く、童子のような男が一人。軍師である。
頭の左側がズキズキと痛んでいる。内側から金槌で頭蓋骨を叩かれているような激しい痛みだ。
足取りがおぼつかない。今朝食べた人参の炒め物が、胃液に乗って喉元までせり上がってくる。不快極まりない。
31: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/19(火) 17:02:44.65 ID:1cHfv/HrO
書斎の扉を開けると、煌びやかな世界とは一転、漆黒の闇が広がる。窓がない書斎では、火を灯さねば昼でも暗い。
ランタンを二つも灯すと、大分明るくなった。
軍師「やっと書斎に着いた……。さぁ、仕事だ。怠けてはいられんぞ。忙しい忙しい」
32:名無しNIPPER[sage]
2017/12/19(火) 18:46:57.78 ID:tMimQiVio
おもしろい
33: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/20(水) 17:38:35.35 ID:zPAwmRea0
軍師は原稿を手に取り、流し読みした。
行き過ぎた徴税、軍と貴族の癒着、各地で横行している麻薬の密売。
なるほどと思わせる内容だが、それだけに稚拙な官能表現が目立ってしまう。
軍師「国の現状を痛烈に風刺したつもりなのだろうが、心に響くものはないな」
34: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/20(水) 17:50:06.06 ID:zPAwmRea0
間諜「感染症で耳と聴力を失いまして。魔道具がなければ、まったく無音の世界なのです」
間諜がヘッドフォンを取り、耳のあった場所を指差した。
真っ赤に爛れている。軍師は顔を背け、呻くように言った。
35:名無しNIPPER[sage]
2017/12/20(水) 23:24:30.83 ID:nqT/0BwA0
あ、そう。一生懸命頑張ってね
まだ続けんの?
36: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/21(木) 00:44:33.07 ID:2xe7qRnY0
翌朝、薬師が白い粒の入った袋を持ってきた。
間諜「南方に呉茱萸(ごしゅゆ)という植物がありまして。それを乾燥させて磨り潰した薬です」
薬師の話によれば、側頭部の痛みは血流の乱れによるものだという。
37: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/21(木) 00:46:18.25 ID:2xe7qRnY0
最後の行、間諜が薬師になってしまった
凡ミススマソ
38:名無しNIPPER[sage]
2017/12/21(木) 02:25:14.75 ID:6cGrQTODO
乙
まあ酷い誤変換で暫く悩まないとわからない様なモノとは違うから気にする必要無いんじゃないか?
39: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/21(木) 15:18:32.09 ID:a7EgKgA3O
その日から、軍師は様々なことを間諜に相談するようになった。彼女を敵のスパイだとは微塵も疑わず、軍事や政策を説明している。遠くまで見渡せるが、足元は照らせない。
軍師を灯台に喩えるなら、まさにそれだった。
軍師「民の意思を政策に反映させるためには、どうすればいい?」
40:名無しNIPPER[sage]
2017/12/22(金) 18:59:56.82 ID:1vBeVgct0
あ、そう。一生懸命頑張ってね
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