勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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39: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/21(木) 15:18:32.09 ID:a7EgKgA3O
その日から、軍師は様々なことを間諜に相談するようになった。彼女を敵のスパイだとは微塵も疑わず、軍事や政策を説明している。遠くまで見渡せるが、足元は照らせない。
軍師を灯台に喩えるなら、まさにそれだった。

軍師「民の意思を政策に反映させるためには、どうすればいい?」

間諜「大通りに投書箱を置く、というのはいかがでしょう」

軍師「それはもうやった。意見を書く人間がいないのだ。皆、生活に余裕がないのだと思う。異常な税が、資金援助の恩恵を打ち消してしまっている。廃屋も増え始めた」

間諜「では、その廃屋を取り壊して田畑にするのはどうですか? 資料を見てみたんですけど、廃屋だけで町の30%を占めているそうですよね」

軍師「まだ綺麗にすれば、人が住める家屋もある。全てを田畑に変えるのは早計だと思うが、やってみる価値はありそうだ」

数日後。

魔女「こんちわ〜」

魔女が少年を伴って屋敷に訪れた。先代勇者は軍師の感想をそのまま喋っていたが、細かいことを聞かれると、的外れな発言をしていた。

魔女「あ、とっつぁん坊や!」

軍師「誰がとっつぁん坊やだ!」

先代勇者「軍師、客人に失礼だろう。控えなさい」

魔女「薬師はどう? 仕事してる?」

先代勇者「軍師が偏頭痛に悩まされてるそうで、随分と世話になっているよ」

魔女「へ〜、あの子意外とやるねぇ」

主人と魔女が話し合っている間、軍師の視線は魔女の隣に座る少年に注がれていた。前から疑問に思っていたが、この少年は何者なのだ。魔女が二回も連れてきている。きっとただ者ではあるまい。

勇者「……」

少年と目が合う。五芒星。はっきり見えた。

軍師「なッ……!?」

五芒星と言えば、勇者であることを表す証だ。
ありえない。ありえるはずがない。

軍師(まさか、新しい勇者が誕生したとでもいうのか……?)

再び顔を上げた時、少年の瞳にあった五芒星は消えていた。


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