31:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:19:54.69 ID:sxZEr0ye0
なんとか捩じ込むような形で、デビューライブの仕事は取れた。
ハコも小さく、今日デビューする新人アイドル達の一人という扱いだけど、こちらはやりたいようにやるだけだ。
蘭子がパフォーマンスをすれば、きっとそこは堕天使降臨の儀式の場となるはずだ。
32:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:20:32.78 ID:sxZEr0ye0
さあ、次は蘭子の番だ。
「今宵は聖誕祭。ミサの幕開けよ」
バッ、といつものように腕を突き出し、こちらに掌を向けるポーズ。
33:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:21:19.46 ID:sxZEr0ye0
「……禁断の舞台……下僕達に言霊は通じるのか?」
力ある眼はそのままであるが、やはり表情は堅い。
ああそうだ。
34:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:22:04.68 ID:sxZEr0ye0
「蘭子は、最高のアイドルになれる」
普通じゃないって、怖いよな。
だからこそ、ありのままの、蘭子が格好いいと思えることを、自由にさせてやりたい。
35:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:23:27.51 ID:sxZEr0ye0
根本的解決なんて一つもできない。
魔術も魔法もありはしない。
ただ、一緒に階段を一段ずつ登っていくだけ。
36:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:25:19.94 ID:sxZEr0ye0
ステージでの時間は一瞬のようだったのに、ステージを捌けてからの時間はやたらと長く感じられた。
舞台裏に戻ってきた蘭子は肩で息をして、化粧をしていても頬が赤いのがわかった。
視界は霞んで歪んでるけど、声は震えてるけど、頑張った蘭子を笑顔で迎え入れよう。
37:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:25:57.03 ID:sxZEr0ye0
蘭子は顔を上げる。
深紅の瞳は熱を帯びて潤んでいる。
「でも、自分の世界を歌にしたら、みんな応援してくれた……!」
38:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:26:36.85 ID:sxZEr0ye0
違う、違うよ蘭子。
お礼を言いたいのはこっちの方だよ。
蘭子は俺に、頑張れる理由をくれたんだ。
39:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:29:21.21 ID:sxZEr0ye0
デビューライブ後は順調に仕事が増えていった。
金をかけたPVを撮れるようになったし、遂にはルミエールというゴスロリファッションを扱うブランドとコラボが決まった。
蘭子がアイドルになる前から愛用していたブランドで、神崎蘭子モデルの傘を作ってくれるそうだ。
40:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 12:30:24.97 ID:sxZEr0ye0
このブランドとコラボできるアイドルはウチの事務所じゃ蘭子くらいだろう。
蘭子が自分の好きなことをありのままにアイドルとして表現した、その結果がこうして実ったことが、心底嬉しい。
蘭子が資料を抱えているため、他の仕事をしようかとデスクに向かうと、背後にわずかな引っ掛かりを感じた。
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