4: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:22:18.18 ID:W1uOFZeg0
だけど。
「ナナには、その訳がわかりました」
顔を上げた菜々さんは、透き通るように笑います。
5: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:22:47.21 ID:W1uOFZeg0
●ライブ1週間前/トレーナーの説明
「故障はちゃんとした治療をし、静養すれば完全に消える…もちろん、事実はそうではない」
6: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:23:21.33 ID:W1uOFZeg0
「安部はデビュー前から腰に故障を抱えていた。それを庇って4年やっていく内に他を痛めた。『ウサミン』のステージをこれ以上続けることはできない」
「でも…でも…だって…」
7: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:23:52.54 ID:W1uOFZeg0
「なのに、どうして、誰も止めないの…? 続けさせてあげて…あんなにアイドルが好きなのに…!」
菜々さんが事務所を辞めると公表したとき、それを止めるものはほとんど居ませんでした。
8: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:24:48.09 ID:W1uOFZeg0
「別に芸能活動が困難だというわけじゃない。『ウサミン』が続けられないというだけだ―――佐城の言うとおり、芸能活動を続けたいなら道はいくらでもあるだろう」
残ろうと思うなら、いくつもの道がある。
9: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:25:54.59 ID:W1uOFZeg0
そう。
誰も、止めることは出来ませんでした。
出来るのは、ただ、見守ること。
10: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:26:59.03 ID:W1uOFZeg0
●その夜/安部菜々自室
菜々さんの生活は四年を経ても驚くほど変化がありません。
11: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:27:31.04 ID:W1uOFZeg0
「うわー、ナナの引退ライブがこんな豪華メンバーになるなんて…凄いなああ…絶対録画しといて貰おう…あれ」
はらはらとファイルをめくるうちに、菜々さんの視線がファイルの末尾に止まりました。
12: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:28:03.71 ID:W1uOFZeg0
「私達の中にも、ファンの皆さんの中にも…ナナさんに続けて欲しい人は、たくさん居ます。ウサミン以外の形で活動を続ける道は、続けたいって気持ちは、無かったんですか?」
「続けられるなら続けたかったですよ。折角掴んだ、夢だもん」
13: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:29:19.46 ID:W1uOFZeg0
「ウサミン星から、歌って踊れる声優アイドルを目指してやってきたドジな女の子が居て、今日も頑張ってる。それを本当にすること。それを信じること」
「―――それが、約束」
それは約束と言ってもいいし、物語、と言っても良いものかも知れません。
14: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:29:49.15 ID:W1uOFZeg0
「…どうしても、続けることはできないんですね」
「どうしても続けることはできません」
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