白菊ほたる「私も、ウサミンでした」
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13: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:29:19.46 ID:W1uOFZeg0
「ウサミン星から、歌って踊れる声優アイドルを目指してやってきたドジな女の子が居て、今日も頑張ってる。それを本当にすること。それを信じること」

「―――それが、約束」

それは約束と言ってもいいし、物語、と言っても良いものかも知れません。

菜々さんとファンの人たちは、ウサミンという物語を共有していた。

もし、そうなら―――

「菜々さんが引退するのは、それで…?」

「17歳のウサミン、に説得力を与えられなくなったら、その時は辞めようと決めていた―――というのはあります。でも、それ以上にね。悲しいじゃないですか」

「悲しい…?」

「アイドル夢見て頑張って来た『ウサミン』の最後が『身体を痛めて続けられなくて、元アイドルのタレントとしてやっていきました』って、どこか寂しいです」

「それは―――確かに」

現実にはままある、そんな終わり。

だけど積み重ねた物語の終わりがそれでは、残酷です。

「安部菜々が身体を壊したのでウサミンはもう無理です、って言うのはもっとひどいです。信じて、って言った側が放り出しちゃうなんて!」

菜々さんが、カーテンコールは嫌いだ、と言っていたことを思い出します。

雪美ちゃんに『メルヘンチェンジ』を信じさせようと奮戦したことを思い出します。

ウサミン星人ナナに、カーテンコールはありません。

菜々さんの決断は、あのころからもう覆せないものだったのかもしれません。

だけど。

だけど―――

「だから、ずっと考えていました。ウサミン星人ナナの最後のステージは、夢破れた終わりじゃなく。ウサミンじゃなくなった誰かがそこに残るんでもなく―――」

それでも言ってしまいたいことを堪えて、俯いて。

唇を噛む私の耳に、菜々さんの言葉が届きます。

「ウサミンが新しい希望に向かうものじゃなきゃいけない―――そして、それはナナもそうなんだって」

その声には、悲しみも痛みも無くて。

ただ、前を向いていて―――


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