白菊ほたる「私も、ウサミンでした」
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10: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:26:59.03 ID:W1uOFZeg0
●その夜/安部菜々自室


菜々さんの生活は四年を経ても驚くほど変化がありません。

印税だって入ってお金はあるはずなのに、菜々さんの暮らしはいつでも慎ましくて。

私はここに来るたび、二人で暮らしていたあの小さなアパートを思い出すのです。

でも古いコタツの脇には、今までこの部屋には無かった参考書や資格試験の案内書が置いてあります。

時間は確かに過ぎていて、菜々さんはもう、引退後の事を考えているのだ。

そう思うと、私は―――

「しかしわざわざすみません。ほたるちゃんもお疲れでしょうに」

もしかしたら、知らず暗い顔をしてしまっていたのでしょうか。

ジャージにドテラ姿でコタツを挟んで座ると、菜々さんはちょっとおどけて私を労い、笑顔を見せてくれるのでした。

「いえ。私こそいつもお邪魔しちゃって…はい、これ」

笑顔を作り直して、トレーナーさんから預かったファイルを差し出します。

今日のように菜々さんがレッスンに参加できないとき、私は連絡役として菜々さんのお部屋にお邪魔させて貰います。

ファイルの中には今日のレッスンの進捗、変更点、連絡事項。

それにいろんな人からの個人的な伝言が記されていました。

「ナナも予定通り、明日からまたレッスンに…うわ、また増えたんですか友情出演!?」

「ふふ。これも菜々さんの人徳あればこそですね」

私はおどけて言いましたが、友情出演アイドルのリストは菜々さんの引退ライブが確定したときから伸びる一方。

私や雪美ちゃんも、友情出演させてもらう予定ですが、リストには前川さんや三船さんのような一流どころも沢山名を連ねています。

忙しいスケジュールを縫って、菜々さんのために。

実際、これが人徳でなければなんだと言うのでしょう。



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