橘ありす「二人ぼっちのアリス」
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37:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:28:12.26 ID:/E20kLoAo
 ――――

 週明け、秋雨は乾いた。
 窓にはピンと張った布のように凪いだ空――、どこまでも透き通って、宇宙まで青い色を届けそうだった。
 雲が細く連なって、風の形を描いているのを見ると、気持ちもなんだか清々しい。
以下略 AAS



38:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:29:35.30 ID:/E20kLoAo
「不合格でした」

 私があんまり残念そうな顔をしていたせいかもしれない。
 ありすは大人びた笑いを浮かべて、延々とオーディションの話を続けた。

以下略 AAS



39:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:30:52.53 ID:/E20kLoAo
「母も、ずいぶん残念がってましたけど、……だけど、甘いんですよ。
 そうは思いませんか?」

「どうかな、先生は……」

以下略 AAS



40:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:32:17.87 ID:/E20kLoAo
「私、ひとりぼっちなんです」

 オーディション以来、それはありすの口癖になった。

「先生だけですね、私の味方は……」
以下略 AAS



41:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:32:51.84 ID:/E20kLoAo
「アリスとありすで、二人ぼっち。ひとりじゃないから、寂しくない。ね?」

「――――」

 ありすが言いかけたらしい言葉は、はらりとほどけて宙に舞い、口元へ幼いはにかみだけを残した。
以下略 AAS



42:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:35:10.19 ID:/E20kLoAo
「ふふっ。……ああ、すみません、時間なのでそろそろ行きます」

 そう言って、ありすは腰を上げた。
 すっかり長話が習慣になってしまった。

以下略 AAS



43:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:36:18.95 ID:/E20kLoAo
「あのね、パートリーダー、やってくれないかしら」

「パートリーダー」と、オウム返しにして、ありすは怪訝そうな顔をした。

「みんなのまとめ役と言えばいいのかなぁ。パートでわかれて練習することもあるでしょ?
以下略 AAS



44:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:37:15.27 ID:/E20kLoAo
「あの、いますぐ決めなくていいんだけど……」

 私が楽譜を片づけようとすると、その手を遮って――ありすは顔を上げた。

「や、やります!」
以下略 AAS



45:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:37:42.04 ID:/E20kLoAo
 それから、翌日。
 音楽の授業で、いよいよ合唱の練習が始まろうというとき、ありすはちょっと不安そうな顔をして、私を呼び止めた。

「私で大丈夫なんでしょうか」

以下略 AAS



46:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:38:34.99 ID:/E20kLoAo
 実際、彼女の心配は杞憂に終わった。
 パートごとの練習中、ピアノの陰からこっそり覗くと、なんてことはない。
 しゃちほこばった感じはしたけれど、きちんとクラスメイトをまとめていた。
 頭のいい子なのだな、と改めて思う。

以下略 AAS



47: ◆xJHI1D1Uro[saga sage]
2017/11/09(木) 13:55:36.01 ID:/E20kLoAo
小休止を挟んで、後半戦は明日までに投下しますーン。


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