橘ありす「二人ぼっちのアリス」
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42:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:35:10.19 ID:/E20kLoAo
「ふふっ。……ああ、すみません、時間なのでそろそろ行きます」

 そう言って、ありすは腰を上げた。
 すっかり長話が習慣になってしまった。

「さよなら」と、言いかけて、私は慌てて彼女を呼び止めた。

「あっ、橘さん、言いそびれてたゴメン! ちょっといいかな?」

「え、はい、なんでしょうか?」

「あのね、卒業式の合唱のことなんだけど……」

 私は幾つか楽譜のコピーを取り出して、机に並べた。

「あの、曲はもう決まってるんですよね?」

「決まってるんだけどね、ひとつ頼みたいことがあるのよ」

「なんですか?」と、ありすは首を傾げた。「私、ピアノはできませんよ」


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