藤原肇「ナイトフィッシングイズグッド」
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24:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:01:57.11 ID:2O49l66V0



 午前三時、ピピピ、とスマートフォンが鳴ったのでビクリと身体を震わせた。

以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:02:52.41 ID:2O49l66V0
 肇がまだ蕩けた目で俺を眺めていたので、飲むか、と聞いた。

 はい、と言って俺の飲みさしを取り、こくりこくりと白いのどを揺らす。

「間接キッスじゃんね」
以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:04:18.62 ID:2O49l66V0
 夜の黒いインキが溶け出したように、海と空の境界はおぼろげだった。

 午前三時だというのに遠くのビルと、工業地帯がやたらと明るく、作業灯と月が海に揺れていた。

 よっこいしょ、と足元にクーラーボックスを置く。
以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:06:01.77 ID:2O49l66V0
 しかし、難しいのか。プラプラと眼前でルアーを揺らしたが、今日もボウズ、太公望を気取ることになりそうだな、と思った。

「ハゼ釣り用の仕掛けも借りるべきでしたね」

「いやあ、どちらにせよ変わらないよ」
以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:08:44.62 ID:2O49l66V0
「良いですよね。仕掛けを投げて、波紋が広がって……落ち着きます」

 彼女は独り言のようにそう言う。

 俺が見惚れていたのに気づいたんだろうか、とびくりとした。ふと、不審者だったときと同じ格好をしていることを思い出した。
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:10:15.45 ID:2O49l66V0
 しばらく、俺の竿には当たりもなく。

 三十分ほど投げては巻き、投げては巻きを繰り返している。

 一方肇の竿には何度か当たりがあったらしく、合わせを入れては首を傾げていた。
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:12:35.44 ID:2O49l66V0
「黒鯛?」

「いえ、たぶん根魚ですね」

 彼女はギュルギュルとリールを巻く。「美味しいやつだ」
以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:13:35.94 ID:2O49l66V0
 わあわあと二人で盛り上がり、バケツにカサゴを入れる。

 カパカパとエラ蓋を開き呼吸をしているが、君は明日の味噌汁になる運命であるよ。

 彼女は再びルアーを投げた。
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:14:22.37 ID:2O49l66V0
 しかし、彼女は表情を少し暗くする。

 俺は竿を動かすのをやめて、「どうかした」と聞いた。

 彼女は顔を横に振った。
以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:15:38.38 ID:2O49l66V0
 思うに、俺は彼女のそんな目に「夢」を見たのだ。

 一度夢破れ、ぼんやりとした目的でプロデューサーになり、なったといえど音楽の知識が活きたことも多くなく。

 丁度、色々と忘れそうになった頃に、彼女に出会えた。去年、あの日着ていた服を着ているから、これほど彼女との出会いを思い出しているのかもしれない。
以下略 AAS



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