189: ◆nIlbTpWdJI[saga]
2017/09/18(月) 20:42:28.71 ID:HUNlZsa0o
冷たくてこの世界で一番変な、事務所のドアです。
少し迷いましたが、残り少ない絵の具を全部パレットに絞り出しました。
そして、事務所のドアを絵の具で青空に溶かしてしまいました。
190: ◆nIlbTpWdJI[saga]
2017/09/18(月) 20:42:56.91 ID:HUNlZsa0o
以上です。
ありがとうございました。
191:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:01:43.82 ID:k1yJYnNv0
ほたる「なぜトップアイドルを目指しているのか、ですか?」
ほたる「私は不幸体質でまわりに迷惑ばかりかけて……」
ほたる「だからこそ、こんな私でもファンの人を幸せにできたらって思うんです……!」
192:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:03:43.42 ID:k1yJYnNv0
広いライブ会場は開演を待ち望むファンの期待感に満たされていた。
袖から顔を出すことはできないが、その熱気は十分に伝わってくる。
舞台袖から回れ右をして廊下へ進むと、揃いのTシャツを着たスタッフが慌ただしい様子ですれ違う。
開演前のこの空気が何とも言えず好きだ。薄暗くスポットライトの当たらない舞台の裏側は、客席とはまた違う熱気を帯びている。
193:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:06:07.92 ID:k1yJYnNv0
扉を閉めると客席の喧噪はここまで届かないようで、部屋はシンと静まり返る。
それでも、備え付けのモニターテレビにはステージを俯瞰する角度で映しているので、最前列付近の様子は確認できた。
「いよいよだな。緊張してないか?」
194:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:09:04.75 ID:k1yJYnNv0
「よし、行くか。今までの頑張りを見せて、ファンの度肝を抜いてやれ」
「はい! あの、プロデューサーさんにお願いがあるんですけど……聞いてくれますか?」
「俺に? そりゃ構わないが」
195:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:11:45.64 ID:k1yJYnNv0
………
……
…
彼女をスカウトしたのは半ば勢いだった。
196:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:14:59.24 ID:k1yJYnNv0
「待てッ!」
反射的に叫んだ。
屋上の少女はびくりと体を引いて、下からは見えなくなる。
197:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:16:38.11 ID:k1yJYnNv0
屋上の扉を勢いよく開け放つと、日暮前の低くなった夕日に視界を奪われた。
目を細めた先、逆光の中立ち尽くす少女に訊く。
「まずは自己紹介。俺はアイドルのプロデューサーをやってる者だ……君の名前は?」
198:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:19:03.65 ID:k1yJYnNv0
何が幸せで不幸せかなんてものは一概には言えないのだろうが、それでも、白菊ほたるは不幸体質といっても差支えなかった。
幼いころから身の回りでは良くないことが頻発して、周りからも疎ましがられているようだった。それは両親にアイドル活動をする許可をもらいに実家へ訪問したときにも感じた。
実の家族からもまるで腫物を触るかのような扱いで、逆にプロダクションに迷惑がかかりますがそれでもよろしいんですか、と念を押されたときは怒鳴り散らしてやろうかと一瞬頭をよぎった。
誰からも愛されず、そして誰よりも優しい彼女は、思いつめた結果廃ビルへ足を運んだのだろう。
199:名無しNIPPER[saga]
2017/09/19(火) 20:20:41.86 ID:k1yJYnNv0
守ってあげたくなるような少女に、男は弱い。
その儚げな中に時折垣間見える芯の強さも、彼女の魅力だ。
もちろん、すぐに上手くいったわけではない。
現場に向かえば渋滞やダイヤが乱れ、やっと到着したかと思えば機材が故障して撮影が中断したことも、1度や2度ではない。
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