89:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:36:17.21 ID:dZyp/T120
「ここ最近、ずっと口数が少なかったのも……一生懸命、我慢していたんだよね」
夕美さんは、そっと私の手を取りました。
「口を開くと、抱えてる不安とか、不満とか、嫌な言葉をふとした拍子で皆にぶつけちゃいそうで、それが怖くて……だから、我慢していたんでしょう?」
90:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:39:11.93 ID:dZyp/T120
最寄り駅に着く頃には、辺りは真っ暗でした。
予め待ち合わせをお願いしていたお父さんの車に急いで乗り込み、家に向かいます。
夕美さんを乗せて家に行くのは、何度もありましたが、こんな遅い時間に行くのは初めてです。
91:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:40:56.57 ID:dZyp/T120
「私、居間で待ってた方が、良いのかな?」
私の目的が工房にあることを、夕美さんはとっくに察していたようです。
私は、車を降りて、無言で頷きました。
92:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:45:02.20 ID:dZyp/T120
――――。
――それは、素晴らしい出来映えでした。
93:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:47:08.45 ID:dZyp/T120
誰もいない、ひんやりとした工房で、私はそれを手に持ち、しばらく立ち尽くしていました。
放心状態と言っても、良かったかも知れません。
94:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:48:52.99 ID:dZyp/T120
急に、自分がすごく、恥ずかしくなりました。
おじいちゃんの言うとおりです。
95:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:49:53.06 ID:dZyp/T120
こんな結果になるなんて――!
私は一体、何なんでしょうか。
96:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:50:58.56 ID:dZyp/T120
ッ――――。
――――――。
97:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:53:38.18 ID:dZyp/T120
「…………夕美さん」
いつまで経っても工房から出てこない私を、心配したのでしょう。
98:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:56:55.23 ID:dZyp/T120
「…………」
言われた通り、机の上に置きます。
「ありがとう。それから……あぁ、ごめんね。2つじゃなくて3つだったね」
99:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:59:25.92 ID:dZyp/T120
この間――たぶん、お花が好きだと語った時の、あのことを言っているのかと直感しました。
「どうぞ」
「えへへ……ありがとう」
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