50:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:37:17.68 ID:pXJ6Ifkk0
「出来るのか?」
私のデッサンと紙粘土の試作品を交互に見ながら、おじいちゃんは私に問い質しました。
「手びねりなど、お前ろくにやったこと無いだろう」
51:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:41:31.08 ID:pXJ6Ifkk0
手びねりは玄人向け、という不文律がある訳ではありません。
ろくろでも当然、美しい形状に成型するには熟練した技術が必要になります。
また、体験教室には手びねりコースもあり、ウチの場合、お客さんとしては半々か、ろくろコースの方が少し多いくらいです。
52:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:46:23.09 ID:pXJ6Ifkk0
お正月以降、まとまったお休みを取れる保証はありません。
この期間でどこまで手応えを掴み、完成度を高められるかが勝負です。
53:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:48:39.11 ID:pXJ6Ifkk0
そんな些細なことだけではありません。
成型が佳境に近づくと、作品の仕上げ方についても、私とおじいちゃんはさらに喧嘩するようになりました。
54:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:52:34.93 ID:pXJ6Ifkk0
「……こんな植木鉢、初めて見るわ」
おじいちゃんが苦言を呈しますが、百も承知です。
成型を終えたそれは、口が水平ではなく斜めに切った形をしており、左右だけでなく上下も非対称です。
55:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:55:10.81 ID:pXJ6Ifkk0
――――。
「みんなーー!! 今日はほんとうに、来てくれてありがとーー!!!」
56:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:58:05.56 ID:pXJ6Ifkk0
「お疲れ様! 今日のステージもバッチリだったな!」
Pさんが、新年一発目のライブを終えた私達を労ってくれました。
まだソロライブを組めるほどではありませんが、こうしてトリを務めさせていただく機会も増えた気がします。
57:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:58:56.99 ID:pXJ6Ifkk0
「何か……あったの?」
「……えっ?」
58:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 22:01:00.86 ID:pXJ6Ifkk0
「怖い顔……?」
咄嗟に私は、携帯を取り出しました。
最近、ようやく私もスマートフォンに買い換え、ツイッターも始めました。
59:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 22:02:33.43 ID:pXJ6Ifkk0
「え……」
夕美さんは、真っ直ぐ私の目を見ています。でも――。
60:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 22:04:36.91 ID:pXJ6Ifkk0
コンコン、とドアをノックする音が、部屋に響きます。
夕美さんが「どうぞ」と答えると、案の定Pさんでした。
「いやぁ〜他社さんのお偉方がたまたま来ててさぁ、大変だったよ。ようやく解放されて……ん?」
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