「藤原肇がそれを割る日」
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50:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:37:17.68 ID:pXJ6Ifkk0
「出来るのか?」

 私のデッサンと紙粘土の試作品を交互に見ながら、おじいちゃんは私に問い質しました。

「手びねりなど、お前ろくにやったこと無いだろう」

 そう――私はこれまで、電動ろくろによる成型がほぼ主流である日用品ばかりを手がけてきました。

 ろくろを使わず、自分の手で成型した経験も無い訳ではありません。

 ですが、これだけ大がかりなものを手びねりで作るのは、私にとって未知の経験でした。


「それは的外れだよ、おじいちゃん」
「何?」

 私が口答えをするのは珍しいことではありませんが、癪に障ったのでしょう。

 厳しい目を向けるおじいちゃんに、しかし――私は、ここで引く訳にはいきません。


「出来るものしか作らんなら、私はこの先も一生出来るものしか作れん」



 ――ふぅ〜、と、おじいちゃんは長いため息を吐き、ニヤリと笑いました。

「いっぱしに、生意気を言うようになったのぅ、お前も」

 正月休みなど無いと思え――そう言って、私とおじいちゃんの格闘が始まりました。



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