女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:28:42.48 ID:KsUO0z3M0
並びたてられていく言葉の数々。
それは、やや過剰な称賛とも言えた。僕が精密な機械を目指す、ミスをしないことを目指す、完璧な人を目指している、というのはあながち間違いではない。
人心掌握。処世術。人間関係。
ボスの言っていることに、いくつかの心当たりはある。僕がどういう目的で、人との付き合いを円滑にしたのかとか、そういうことは、あまり関係がないのだろう。結果はすでに出ている。それが自分に嘘をついた仮初の姿だったとしても、三か月の期間、演じ続けられたのなら、これからもできる。『能力がある』そういうことだ。
以下略
AAS
94
:
名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:29:16.51 ID:KsUO0z3M0
それらすべてが、最終的に自分に返ってくるかもしれないことが分かっていない奴。
これらは、軽率な行動と言え、しかし細かすぎて絶対に自分に返ってくるとは言い切れないものだ。人を傷つけたり、自分を誇示することによって、周りに強い自分の印象を与える。発言力の上昇と、声の大きい者に付き従う人種の列が、さらに強化を生み出す。暗にスクールカーストのようなものができあがる。
だがこれらには代償が存在する。強さは誇示するがための行動は、結局、人を不快にさせることが多い。大きなミスからその立場は危うくなり、影で失敗を笑われる。
無論、そういうことにならないことだって多くある。要するに致命的なことをしなければ、その立場は続いていくことが多い。メリットとデメリットをどれだけ天秤に乗せるかだ。致命の時に仲間がいなくなるかもしれない。影で何かを言われるかもしれない。だが優位性による通常時の満足感は得られる。
以下略
AAS
95
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/08/29(火) 21:29:47.23 ID:KsUO0z3M0
引き戻された。頭の中にあった絶望を、言葉を、思い出した。
『諦めるんだ。それは絶対に成功しない』
照の言葉。
それは僕がこの先、有利に動かすための言葉だ。だがそこに『彼女』は入ってない。ただ僕一点のみの有利。未来の行動の制止。
『諦めたほうがいい』
以下略
AAS
96
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/08/29(火) 21:30:39.47 ID:KsUO0z3M0
照は、あくまで僕に心の準備と、諦めるという選択肢を濃厚に示しただけだった。救いはなかった。
これになんと答えるか、それは決まっている。だがなんと答えるのか、どう説得するのか。
予感があった。予定調和めいた不幸。
諦めれば、僕の人生は決まる。だが諦めなければどうなる? ただ、ろくなことにならないのは確定していた。
以下略
AAS
97
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/08/29(火) 21:31:25.78 ID:KsUO0z3M0
「おまえは思ったことがあるはずだ。この組織の存在は、むしろ結果論でいえば、市民の団結と法の統治を補助している、と」
まさか。
以下略
AAS
98
:
名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:31:55.60 ID:KsUO0z3M0
「――我らが住まうは、犠牲の都市だ」
99
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/08/29(火) 21:32:24.17 ID:KsUO0z3M0
続く
100
:
名無しNIPPER
[sage]
2017/08/30(水) 13:14:19.51 ID:t/Y+Rjq/o
おおう…
乙
101
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/08/31(木) 21:49:13.90 ID:iVDTxJdE0
◇
「嘘だ」
「目をそらすな。わかっているんだろう?」
以下略
AAS
102
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/08/31(木) 21:50:09.72 ID:iVDTxJdE0
「ここが小さいか、そう見えるか。確かにそういう見方もある。おまえの言う通り、照も俺も、世界の変革者でありたかった。だがそんな場所は、な? 現実に存在しないんだ。政府にたてついて、人を殺して……それでなんになる? 個が巨大な組織に敵うことはない。俺一人がなにをやったって、所詮無意味だ。消去法的選択。だから一番重要な位置に、俺はいるんだ」
「重要? ここが?」
「ああ、お前も見ただろう。ここはそんなにうまく回っているわけじゃない。完璧とは程遠い。だが反逆者役を誰かがやらなくてはならない。そんなことができる奴なんて、世界中探しても、俺ぐらいだ。俺にしか、できないんだよ」
そういうボスの言葉は。
以下略
AAS
103
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/08/31(木) 21:51:05.24 ID:iVDTxJdE0
「どうだ?」
「……」
「お前のここまでの行動、姿勢、照から聞かされたときは感動すら覚えたぞ。いきなりスーパーマンみたいなことをするわけでもなく、現実的に、できることだけをおまえは選択してきた。それはすなわち、英雄的な行動に酔っていないことの証拠だ。本気で助けようと思っていたんだろう。並みの人間ができることじゃない。しかし、運が悪かったな」
以下略
AAS
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