女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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94:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:29:16.51 ID:KsUO0z3M0

 それらすべてが、最終的に自分に返ってくるかもしれないことが分かっていない奴。
 これらは、軽率な行動と言え、しかし細かすぎて絶対に自分に返ってくるとは言い切れないものだ。人を傷つけたり、自分を誇示することによって、周りに強い自分の印象を与える。発言力の上昇と、声の大きい者に付き従う人種の列が、さらに強化を生み出す。暗にスクールカーストのようなものができあがる。
 だがこれらには代償が存在する。強さは誇示するがための行動は、結局、人を不快にさせることが多い。大きなミスからその立場は危うくなり、影で失敗を笑われる。
 無論、そういうことにならないことだって多くある。要するに致命的なことをしなければ、その立場は続いていくことが多い。メリットとデメリットをどれだけ天秤に乗せるかだ。致命の時に仲間がいなくなるかもしれない。影で何かを言われるかもしれない。だが優位性による通常時の満足感は得られる。
 最終的な結果なんて、運と行動いかんによって変わる。ただ自分はそういうリスクを負いたくなかっただけで……。
 良い人間であろうとした。人の悪口で盛り上がらないように気を付けた。その場の空気というのもあるし、愚痴のようなことは言ったかもしれない。だがそうであることを望んだ。そうなりたいと目指した。努力した。そういう届かない高みを見つめていた。完璧な人で、人には優しくあれることを望んだ。
 きっとそれはいきすぎた行動で、無意味な葛藤と苦しみだ。自分にとってを考えれば、もっと楽に生きたほうが都合がいいと、僕だって思う。
 でも、もしかしたら、苦しんだかいがあったのかもしれない。全ては最終的な結果で語られる。この葛藤が、考えが、苦悩が、もし彼女を救うために役に立ったのなら……願ったり叶ったりだ。

「祐樹」とポスが僕の名を呼ぶ。

「ここが境界線だ。了承の選択をすれば引き下がれない。その前に、なにかいうことはあるか?」

 ――熱のこもった、おどろおどろしい気迫。

 きっと第三者から見れば、なにも不自然な雰囲気はなかった。
 僕だけに向けられた、そういう気迫。最初にボスにあったときのことを思い出す。
 ――ただものではない、なにかを背負っている。
 僅かに怯む。
 予感がある。
 このままでは終わらない、いいことだけで終わらない、予定調和めいた不幸。

 なにを? なんてことを聞くのは無粋だった。ついさっきまで、浮かれていた。


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