376: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/10/14(土) 22:46:46.24 ID:1FFMfYnF0
間抜けな、呆けたような声が出たきり自分の口は動かない。何か言葉を返すべきなのかも知れないが、肝心の言葉が喉まで上がってこない。
脳内はまるで、ホワイトハウスの壁のように真っ白だ。
辛うじて機能を保っている耳に、ミナミの声が淡々と響く。
377: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/10/14(土) 22:56:19.45 ID:1FFMfYnF0
undefined
378: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/10/14(土) 22:59:07.75 ID:1FFMfYnF0
ようやく動悸や震えは治まってきたが、思考はまとまらないどころか益々混乱が酷くなる。
ミナミはオフレコだと言うが、そんなもの当然だ。この情報が事前の十分な対策もなく民間に漏れれば、凄まじい混乱が巻き起こる。
特に混乱の最中にある欧州でこの情報がリークされれば、恐慌に駆られた国民によって早晩国家規模の大暴動へと発展してもおかしくない。東西両方面の戦線は、確実に瓦解するだろう。
379: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/10/14(土) 23:19:46.02 ID:1FFMfYnF0
前者については説明するまでもない。ムルマンスクの惨劇が東京やニューヨーク、モスクワなど大都市圏で再現されれば起きる被害は計り知れない。寄生体の侵入経路を速やかに調べ上げ、何としても再発を防止する必要がある。
そして、後者の問題。
それは最早、外交戦だの人類同士の啀み合いだのといったものを超越している。明確な、深海棲艦に対する利敵行為に他ならない。
380:名無しNIPPER[sage]
2017/10/15(日) 02:27:29.59 ID:D0IfAc0A0
政治力たけえええ
それにまさかのオマール海老www
381:名無しNIPPER[sage]
2017/10/15(日) 10:18:39.14 ID:+kfp7z4y0
オマール海老は草
382:名無しNIPPER[sage]
2017/10/15(日) 17:36:04.25 ID:z62ncUu3o
関連事件がオマール海老で良かった
まかり間違って乳首相撲とかだったら……
383: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/10/15(日) 22:05:46.83 ID:wDrjxZvA0
(゚、゚トソン「忘れるはずがないじゃないですか。あれほどの事件なのに」
これもまた、ある種のB級映画臭がする事件の一つだ。
去年の夏頃、ルソン島に建設されていたアメリカ海軍所属の警備府が壊滅したのを皮切りにアジア各国の軍事施設や鎮守府が連続的に襲撃されるという大事件が発生した。目撃証言や僅かに回収された映像の解析などから襲撃者が深海棲艦ではない可能性が指摘され東南アジア諸国はパニックになり、一時はベトナムやミャンマー、インドシナが情報開示を求める国民の大規模な暴動によってあわや内戦状態に陥りかけるという事態に発展している。
384: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/10/15(日) 22:08:53.13 ID:wDrjxZvA0
トソンの言う国際問題一歩手前とは、“海軍”制度の関与国に解決に至る経緯を報告したところ「馬鹿げた作り話をした挙げ句今回の事件の全容を日米が隠蔽しようとしている」とドイツや中国を中心に非難が沸き上がったことだ。
いやまぁ実際真実を包み隠さず言っていたので非難されてもこちらとしてはどうしようもないことだったのだが、もしトソン自身が向こうの立場だったなら同じ反応を返していただろう。
さぁ想像してみよう。何処かの国の外交使節が秘密裏にやって来て、深刻な表情で以下の報告を口にする。
385: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/10/15(日) 22:16:37.69 ID:wDrjxZvA0
連続襲撃が起きた海域で“海軍”鎮守府まで大きな損害を受けたり各国の対応が後手に回ったのも、確実視されていたマレー半島方面での深海棲艦による大規模襲撃に備えて戦力を移動させていたことが大きい。生研もその頃は過去の戦闘データから深海棲艦側の主力艦隊出現地点を可能な限り正確に割り出すことに全勢力を注ぎ込んでいたはずだ。
事件の発生によってマレー沖のそれらが陽動ではないかという見方もでて来るほどだったので、襲撃者判明後も当然関連性自体は疑われている。だが、そもそも深海棲艦の出現前後は周辺海域で魚介類の取れ高が爆発的に上昇するという元々の傾向や米海軍が自分たちの基地を「たかだかデカくなった甲殻類の群れ」に蹂躙されたという事実を公にしたがらなかったという政治的な理由、そして何より事件解決の直後から懸念されていた深海棲艦の大規模攻勢の開始など様々な事象が重なって“海軍”を含めて人類はこの事件を本格的に追究する機会を逸した。
そして海戦────約70年前、同海域でプリンス・オブ・ウェールズが水底に沈むこととなった戦いに準えて【第二次マレー沖海戦】と公称された戦闘での連合艦隊側の歴史的な勝利に世間が沸き立つ裏で、この“異常甲殻類事件”は今まで誰も掘り下げずに放置されていたというわけか。
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