385: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/10/15(日) 22:16:37.69 ID:wDrjxZvA0
連続襲撃が起きた海域で“海軍”鎮守府まで大きな損害を受けたり各国の対応が後手に回ったのも、確実視されていたマレー半島方面での深海棲艦による大規模襲撃に備えて戦力を移動させていたことが大きい。生研もその頃は過去の戦闘データから深海棲艦側の主力艦隊出現地点を可能な限り正確に割り出すことに全勢力を注ぎ込んでいたはずだ。
事件の発生によってマレー沖のそれらが陽動ではないかという見方もでて来るほどだったので、襲撃者判明後も当然関連性自体は疑われている。だが、そもそも深海棲艦の出現前後は周辺海域で魚介類の取れ高が爆発的に上昇するという元々の傾向や米海軍が自分たちの基地を「たかだかデカくなった甲殻類の群れ」に蹂躙されたという事実を公にしたがらなかったという政治的な理由、そして何より事件解決の直後から懸念されていた深海棲艦の大規模攻勢の開始など様々な事象が重なって“海軍”を含めて人類はこの事件を本格的に追究する機会を逸した。
そして海戦────約70年前、同海域でプリンス・オブ・ウェールズが水底に沈むこととなった戦いに準えて【第二次マレー沖海戦】と公称された戦闘での連合艦隊側の歴史的な勝利に世間が沸き立つ裏で、この“異常甲殻類事件”は今まで誰も掘り下げずに放置されていたというわけか。
(゚、゚トソン「………なんとも締まらない経緯ですが、まぁ状況が状況でしたしよしとしましょう」
これほど重大な事柄を“お蔵入り”寸前まで放置してしまっていた生研に言いたいことは山ほどあるが、続報がなかなか入らないことに訝しみつつ確認を疎かにしていた自分にも非はある、とトソンは息をつく。それに生研の夜を日に継ぐ解析のおかげで、イ級一匹すら近隣に上陸させることなく深海棲艦主力部隊を殲滅できたのだ。
(゚、゚トソン「しかし、去年の事件を今更蒸し返して解ったこととは何ですか?しかも今回の“人間の深海棲艦への変態”に関連して。
そもそも深海棲艦が関与しているのは確定として、こいつらが何故鎮守府を襲ったのかも──────」
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