43:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:33:33.46 ID:55jPn/3I0
気がつけば、何時間も過ぎていました。
「……楽しかったんですね」
「ええ、とても、楽しかった」
44:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:34:21.85 ID:55jPn/3I0
「あの……オーハシさん」
ニッコリと微笑むと、オーハシさんは私の言葉を待ってくれました。
「私、オーハシさんのステージを……『島村卯月』のステージを、何度も見ました」
45:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:35:18.82 ID:55jPn/3I0
何度も考えたことでした。
だから、迷いは――まだありますけれど、それでも進もうと決めました。
「何度生まれ変わっても、私はアイドルを目指します」
46:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:36:11.74 ID:55jPn/3I0
◇◇◇
『島村卯月』の再デビューの決定。それは、瞬く間に日本中で話題になりました。
――もちろん、いい意味でも悪い意味でも。
47:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:36:46.43 ID:55jPn/3I0
そして、何より背中を押してくれた人たちが――『今のアイドルマスター』に関わる人たちです。
『アイドルマスターシンデレラガールズ』は、一度途絶えてしまいました。
けれど、『アイドルマスター』は形を変えて続いています。
ゲーム、アニメ、実写のドラマ。『島村卯月』は居ないけれど、別の形でアイドルたちは生きています。
48:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:37:29.58 ID:55jPn/3I0
◇◇◇
ビルの谷間の道路を、多くの人が練り歩く都会の中央。
犬の銅像と緑色の電車がランドマークの広場。そこに、沢山の人が居ました。
49:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:38:39.81 ID:55jPn/3I0
駅前に集まった人々は、私を待っている人もいる。だけど、大部分は見知らぬ人です。
素知らぬ顔で、街を歩む。振り返ってくれるかもわからない。
その人たちが、私を見た時、どう思うでしょうか?
50:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:39:44.61 ID:55jPn/3I0
――初めから、島村卯月として造ってくれたのなら、こんなことを考えることは無かったと思います。
「プロデューサーさんは、私を『島村卯月』の人格を与えませんでした」
「恨んでる?」
51:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:40:26.80 ID:55jPn/3I0
私の存在は極めて不安定です。
今、考えていることだって、作られたものであるかもしれない。
でも、この心はプロデューサーさんの憧れから生まれたもの。
纏う存在には、オーハシさんが作ってくれた『島村卯月』が詰まっている。
52:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:41:57.17 ID:55jPn/3I0
そう在るように選ばせてくれたことに感謝します。
選んだという事実が、確かに私の存在を定義してくれます。
だから、確かめに行ってきます。
あの人から託された、大きな力を借りて。
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