■■「島村卯月をはじめましょう」
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43:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:33:33.46 ID:55jPn/3I0
 気がつけば、何時間も過ぎていました。
 
「……楽しかったんですね」

「ええ、とても、楽しかった」

 その顔には、曇りなんて一つもありませんでした。

「それは、『島村卯月』だからでしたか?」

「半分は当たりで、半分は外れだと思うの」

 胸に手を置き、思い出すかのように瞳を閉じる。

「私は、確かに『島村卯月』だった。でも、それは『島村卯月』の概念を借りているだけ。それを分かったうえで、島村卯月を認めてくれた人が居たの」

 概念を、借りる。
 私から見ても、若い頃のオーハシさんは、『島村卯月』そのものでした。
 それでも、借りている、と彼女は言っています。

「その人たちは『島村卯月』を信じていた。そして、今も残っている」

 それが、私だと。



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