1: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:44:48.27 ID:5UUNa7QZ0
つないだ両手は、汗でしっとりと湿っていた。
イベントの舞台袖。眩いスポットに上がる直前。
登場のBGMが、かかり出していた。
何度経験しても、この瞬間は緊張する。胸の高鳴りが体を伝って直接鼓膜を揺らす。誰にも気付かれないようにゆっくり唾を飲む。
客席からの熱気。お客さんたちが待ち望んでいるのを感じる。
その期待に応えられるだろうか。本当に、少しだけその不安がよぎる。
だけどそれは表には出さない。
変わりに、両手を強く握り返した。
「二人とも」
声をかけると、両側から私の顔を覗いてきた。
ぱっちりと開いた大きな瞳と、強い意志を感じさせる釣り目がちな瞳。
私は二人に頷いた。
「さあ、行くよ」
二人がそれぞれに返事を返してきた。とっても力強く、心強く。
高いヒールの靴で一歩前に踏み出し、私たちはお客さんの前に飛び出した。
お客さんの歓声が上がる。
精いっぱいの笑みを浮かべ、両手を高く振りながら私は言った。
「みなさーん。私達、ニュージェネレーションでーす!!!」
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2: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:47:48.07 ID:5UUNa7QZ0
心地よい汗は拭うのすら恋しかったけど、乙女がいつまでも汗だくなのはよろしくない。
3: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:49:13.25 ID:5UUNa7QZ0
この三人がニュージェネレーション、通称ニュージェネのメンバーだった。
4: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:50:43.25 ID:5UUNa7QZ0
プロデューサーは車でラジオ局まで送ってくれると、別の現場に向かった。
5: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:52:17.29 ID:5UUNa7QZ0
ポスター同様の満面な笑みを浮かべていたけど、今は髪の毛をお団子に結んでいる。
みうみうは一人ではなかった。同じポスターに映った眼鏡の少女が並んでいた。
6: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:53:17.44 ID:5UUNa7QZ0
私の想像は、つっちーの反応から間違いではないのが伝わってきた。
7: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:55:10.89 ID:5UUNa7QZ0
私はあーちゃんの控え室へ向かう。中を覗き込むと、あーちゃんがなにかを読んでいた。
台本ではない。雑誌のようだ。
8: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:56:12.61 ID:5UUNa7QZ0
そのキレイさにちょっと嫉妬を覚えて、でもその嫉妬が不愉快なものでないのは、彼女をよく知っているからか。
松山久美子。くみちーだった。
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