3: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 19:49:13.25 ID:5UUNa7QZ0
この三人がニュージェネレーション、通称ニュージェネのメンバーだった。
「いやあ、ゴメンゴメン。しまむーが可愛過ぎてついさー」
「卯月も気を付けてよね。足でも捻ってたらミニライブ、台無しになってたかもしれないんだよ。怪我しなかったから良かったけど」
「ゴメンなさい……」
かなり気にしていたのか。しょんぼりしてしまったしまむーに、しぶりんがあからさまに動揺した。
「えっと、いや。怒ってる訳じゃないんだけど。そんな落ち込まないでよ」
「心配してるんだよね。しまむーが怪我したらしぶりん、夜も眠れなくなっちゃうもん」
「そこまでじゃないけど……でもまあ、そういうこと」
「だけど、顔真っ赤にしたしまむーは可愛かったよね?」
「うん、可愛かった」
「ちょっと、二人ともー!?」
頷き合った私としぶりんに、照れ隠しみたいにしまむーが怒った。
開かれていた控え室の扉から、プロデューサーが顔を覗かせた。片手にはスマホが握られている。誰かと電話中らしい。
「お喋りもいいけど、未央は早く着替えろよ」
「あれ、プロデューサー。労いの言葉もなし?」
「さっき言ったろ。未央はこの後にラジオ収録あるんだから、急いでくれ」
「わかったよ、もー」
プロデューサーはすぐに電話へ戻った。たくさんのアイドルのプロデュースをしているだけあって、いつも忙しそうだ。
そんなプロデューサーに、これ以上迷惑をかける訳にはいかないか。
着替えた私は、一足先に控え室を後にした。
片づけをしているスタッフの合間を縫って会場を出る。
四月も中旬なのに、沁みるような寒さが身をとらえた。
冬が名残惜しそうに居座っていた。
日は落ち始め、街灯に照らされた街路樹の桜の木の下を人々が足早に歩いている。
桜はまだ花咲いており、ビル群の景色を艶やかに飾っていた。
風に木々がそよぐ。
桜吹雪が春の都心に舞い上がった。
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