【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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4: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:26:16.63 ID:z+wGLY660
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「急なことで落ち着かないとは思うが、君にとってはまたとない成長のチャンスだ、がんばってくれよ」
会議が終わり、撤収作業でにわかに騒がしくなっている会議室の中で、壮年の先輩社員が穏やかな顔で、激励代わりに俺の肩を叩いた。
5: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:29:36.96 ID:z+wGLY660
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俺は病気休暇になった先輩プロデューサーの机を片付けていた。
乱雑に詰みあがった書類の山の高さが半分になったあたりまで片付けて、ようやく俺は先輩の現状を把握することができた。
先輩は病気の直前に大きな仕事をあらかた片付け、いまは新規ユニットのプロデュースに集中するための準備をしているところらしい。
上司にも確認したので間違いはない。
6: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:31:33.11 ID:z+wGLY660
「先輩は、こいつになにか可能性を感じたってことか……? んっ」
よく読むと、荒木比奈の名の横に小さく文字が印刷されている。
「……『スカウト予定』。……まさか」
7: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:33:19.47 ID:z+wGLY660
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「お姉さん、お美しいですね、よろしかったらちょっと話を聞いていただけませんか? あ、そうすか、すんません。……あ、そこのお嬢ちゃん、かわいいね? かわいいって言われない? 俺、アイドルのプロデュースしてて……急いでる? じゃ、名刺だけでも! 興味があったらでいいから……あ、すんませんでした」
名刺をひっこめて、去っていく女性の後ろ姿に向かって俺は軽く頭を下げる。
人通りの多いところで、カメラ映えしそうな女性を探しては声をかけ続け、一時間とすこし。
8: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:35:26.64 ID:z+wGLY660
「ま、名刺はほとんど配り終えたしな」
俺は自分の名刺ケースを見る。残りはあと一枚だった。
これを適当に誰かに渡して今日の仕事はおわり。
9: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:38:20.40 ID:z+wGLY660
「うわあああーっ!」
俺は土手をごろごろと転げおちた。
視界の上下左右が激しく入れ替わって、地面に身体のいろんなところをぶつける。
転げ落ちるあいだ、両腕を使ってせめて頭だけはガードした。
10: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:38:52.90 ID:z+wGLY660
「あ、待って!」
俺は、その少女を呼び止めていた。
理由は自分でもわからなかった。気づいたら、声をかけていた。
11: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:40:48.23 ID:z+wGLY660
「……」
空になった名刺入れを見る。
「とりあえず、これで今日のノルマは達成ってことで。戻るか」
12: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:42:16.32 ID:z+wGLY660
長々すいません。続きはまたすぐに。
13:名無しNIPPER[sage]
2017/05/01(月) 21:59:19.51 ID:FLWdQEwdo
期待
14: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 22:49:16.11 ID:z+wGLY660
現実をきちんと見据えたほうがいい。
世の中にはいくらかのトップアイドルがいる。
その下に多数の、旬が過ぎればすぐに世間から忘れられてしまうようなそこそこのアイドルがいる。
そしてそのさらに下には、アイドルになれなかった無数の普通の人間がいる。
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