184:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:29:51.88 ID:+wWQUoMO0
私と大井さんの間に隔たれていた心の壁が、やっと少し崩されてきた頃の話。
球磨さんの剥き出しの警戒心も落ち着いて、北上さんと廊下ですれ違えば、にやにやと笑顔で挨拶するようになり始めた、みんな私との距離感を探り始めた時の話。
実はこの鎮守府さ、全滅するかしないかの瀬戸際に立ってたことがあったんだよ。
185:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:30:50.15 ID:+wWQUoMO0
私はね、みんなが大好きなんだよ。大井さんだって北上さんだって球磨さんも。
みんな、ここにいるみんなが大事だった。疑心暗鬼な私が見つけた居場所。
186:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:32:29.45 ID:+wWQUoMO0
だから、私は、大井さんを見捨てて、みんなを助けることにした。
一番練度と経験がある大井さんを、単機出撃させることで、囮にし、深海棲艦を鎮守府から遠ざけることを選択した。
187:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:33:20.25 ID:+wWQUoMO0
私はクズだから、どうやって大井さんが帰ってきたのかわからないけど結果的に誰一人死ななかった。それに甘んじて私はみんなと笑いあってる。
私が大井さんの促した告白に答えられなかったのはこれが理由。私は答える資格がない。応じてはならない、こんな私だから。
188:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:34:27.76 ID:+wWQUoMO0
大井「もう十分ですよ」
柔らかい匂いがして、暖かいものが私を覆い隠した。そして力強く私を締め付けると、子供をあやすように背中をさすられる。
189:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:35:21.43 ID:+wWQUoMO0
提督「....知ってたの?」
大井「当然です。何年艦娘やってると思ってるんですか」
190:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:36:07.12 ID:+wWQUoMO0
大井「一回みんな死んでるから、死には敏感なんですよ。隠せていたと思っていても、ほんの些細な違和感に、艦娘は死を悟るんです。だからって提督を恨まないですよ。なんせ戦時中なんですから、いつ死んだっておかしくないんですよ。だからみんな常に覚悟はできてる」
提督「だからって死ぬのは怖いでしょ」
191:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:40:52.27 ID:+wWQUoMO0
死は誰かを強くする、か。彼女たちと私の見ている世界は同じなのに感じ方は違うんだ。
大井「それでさっき提督は、私がどうやって帰還したのかわからないって、言いましたよね」
192:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:42:08.67 ID:+wWQUoMO0
大井「そう気合いですよ。積めるだけ酸素魚雷を搭載して単機決戦です。それにしても甲標的と試製61cm六連装酸素魚雷の雨あられのあの様を、見せてあげたかったですね〜」
提督「え、うちにそんな装備今でもないよね」
193:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 01:43:55.26 ID:+wWQUoMO0
今日で終わりそうです。また更新します。
194:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 17:32:15.47 ID:ANVQ24Nk0
提督「なにそれ」
私は涙を拭うと思わず笑ってしまった。まるで私がバカみたいじゃないか。
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