26:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:12:27.93 ID:JSGxJH370
黒いちひろさんは、アイドルと言う存在そのものが支配のための道具だと言いました。
アイドルと言う存在を愛すことも、管理者にとって都合のいいことだと言いました。
本当に、そうなのでしょうか?
本当に、私はそう思っているのでしょうか?
「っ!!」
27:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:13:13.60 ID:JSGxJH370
◇◇◇
「プロデューサーさん!」
「卯月!?」
滅茶苦茶な私を見て、プロデューサーさんは目を丸くして驚きます。
28:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:14:10.24 ID:JSGxJH370
その言葉で、理解しました。
この人は、『島村卯月』にシンデレラガールの称号を与えた人だ。とっくに、違和感になんて気が付いていたんだと。
「私は……あなたが知っていた『島村卯月』じゃないんです」
「それでも、だ」
「プロデューサーさんは、私が何番目か分かっているんですか?」
29:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:14:52.90 ID:JSGxJH370
でも、それは勘違いだったんです。
「自分で選んだ役割だ。卯月を見た時から、絶対にアイドルになれると信じた自分の心が望んだ役割なんだ」
プロデューサーさんの口から出た言葉は、誰かに言われたような定型句ではなくて、絞り出すような……それこそ、血を吐くような気迫に満ちたものでした。
「……え?」
30:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:16:08.24 ID:JSGxJH370
私は――
映像でしか見たことのない、『島村卯月』のステージを思い出す。
世界の誰よりも眩しくて、世界の誰よりも力強い。
そんな絶対の存在が――アイドルが、そこに居ました。
31:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:17:11.49 ID:JSGxJH370
だって、そうだ。
島村卯月は、ずっとアイドルに憧れていた少女だった。
たとえ自分がアイドルになったとてしても、アイドルと言う存在が好きなことは絶対に変わらない。
心に刻まれた、憧れと言う理想に対して手を伸ばし続けることは、絶対に変わらないんです。
32:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:18:20.32 ID:JSGxJH370
◇◇◇
それからも、アイドルとしての日々は続きました。
お仕事のペースは少しゆったりで、シンデレラガールには少なすぎるとも言われました。
きっと、管理者の人たちは『島村卯月』を次のシンデレラガールにはしたくないんだと思います。
33:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:18:52.82 ID:JSGxJH370
「今回は、緊張していないのかい?」
本番直前、プロデューサーさんは意地悪な顔をして声をかけてきました。
「そんなこと、ありませんよ。ここで躓いていられないんです」
そうです。いつまでも同じところで躓いていられません。
34:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:19:29.00 ID:JSGxJH370
「プロデューサーさん」
「どうした、卯月」
「指切り、しましょう」
あの時と同じように、約束をしよう。
「私、『島村卯月』を諦めません……だから」
35:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:19:59.66 ID:JSGxJH370
「だから、見ていてください」
『島村卯月』さん。あなたの姿はとってもキラキラしていて……とても追いつけないくらい眩しい、私の憧れです。
あなたの背中を追いかけても、追いつけないかもしれない。
私は、今も憧れを遠くから見ているだけです。
だけど、『憧れ』は遠くにあるだけじゃなくて、この胸の中で確かに私を突き動かしてくれている。
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