新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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609: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/05/13(日) 22:16:25.80 ID:HRQM2WMiO

プロデューサー「お怪我は、ないんですね?」


 やっとことでプロデューサーが口を開いた。
以下略 AAS



610: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/05/13(日) 22:17:48.03 ID:HRQM2WMiO

中野「アーニャちゃん、おれらもう行くから」


 元気でとだけ言い残し、アナスタシアの返事も待たずに中野は窓を閉めようとした。プロデューサーはあわてて車に近より、中野に話しかけた。アナスタシアは思わずぎくりとする。
以下略 AAS



611: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/05/13(日) 22:19:18.40 ID:HRQM2WMiO

アナスタシア「あの、これからどうしますか?」


 プロデューサーの車に乗り込んだアナスタシアが尋ねた。
以下略 AAS



612: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/05/13(日) 22:20:33.61 ID:HRQM2WMiO
短いですが、今日はここまで。


613:名無しNIPPER[saga]
2018/05/21(月) 03:29:37.62 ID:MQxsUN2EO
追いついた




614: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/07/08(日) 20:16:45.73 ID:Wqc3ZOPPO

 極度の混乱、極端ともいえる自罰的傾向、事実関係の誤認識、うつ症状の進行、精神療養の必要あり。新田美波─療養施設にて治療を受けている。面会謝絶され、隔離されている。世間から遠ざけられる─さらに。亜人に関する事柄からも─つまり、佐藤と永井圭。

 均衡が崩れた精神。それがどのような思考や感情を生み出すのか、アナスタシアにはわからない。今日は九月二日、アスタシアは高校の教室にいて、自分の席に浅く腰かけながらいま現在の状況について考えをめぐらせている。昨日の始業式の日には、心配しきったクラスメイトに囲まれ、静かに考えることができなかったから、今日は昨日の分までより多くのことを深く思索しなければならない。



615: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/07/08(日) 20:18:29.01 ID:Wqc3ZOPPO

 学校に行くことに、母親は懸念を示した。母親はそれが過敏な態度だとは自覚していたが、亜人のことがひどく取りざたされている現状で、娘が突然消息を絶ち、その間に亜人が殺戮を引き起こし、その亜人は殺戮は一過性のものではなくこれからどんどん拡げていくと宣言したのだから、アナスタシアが亜人だと判明した直後の周囲への疑心暗鬼と不安がぶり返してしてたとしても仕方のないことだった。

 母親は(父親にも祖父母にもいえることだが)アナスタシアが亜人だと発覚してから、むしろ娘の安全にこれまで以上に気を遣いだした。車の行き来の激しいところでは痛いくらいに手を握りしめ、川の流れを覗き込もうと橋の欄干から身を乗り出そうとすればまるで連れ去ろうとでもするかのようにきつく抱き締めた。成長するにつれ、アナスタシアは家族のそうした態度にうんざりすることが多くなった。

以下略 AAS



616: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/07/08(日) 20:20:05.88 ID:Wqc3ZOPPO

 晴れ渡った冬の車内、ロシアはとてつもない寒波に見舞われていた。暖房の調子がわるく、途切れ途切れに吐き出される温風は調子を崩した犬の喘ぎに似ていた。窓ガラスが白くなっていたのは曇りのせいではなく凍ったせいだった。

 空気そのものが凍るほど寒い日に母娘ふたりで車に乗ったのは、明日は仕事なのにガソリンを入れることをすっかり忘れていたためだった(ついでに灯油を買う必要もあった)。母親は七歳になる娘に眼をやった。ふてくされていた。人形アニメが見たかったのだ。ひとりでも平気だから家にいると駄々をこねたが、もちろん母親は有無を言わさず防寒着をしっかり着込ませ車に乗せた。いまでは防寒着の前は開きマフラーはほどけていた。寒さよりこんな風に窮屈にされるのが我慢できないとでも言いたげな風だった。

以下略 AAS



617: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/07/08(日) 20:22:25.68 ID:Wqc3ZOPPO

 いまなら母親がそんな顔をした理由がわかる、亜人の情報提供を呼び掛けるチラシに載った永井圭の顔写真──佐藤と田中のあいだにあるその写真で永井は学生服の詰襟を上まで閉めている──を見ているとつよくそう思う。太い枝をみずからの首に突き立てて易々と頸動脈を破ってしまったあの光景は恐ろしかったが──あの躊躇いのなさは自分が亜人だと確信しているからというより、自分より偉大な存在にみずからのすべてを捧げようとしているかのようにアナスタシアには思えた──ある程度時間が経過してみると、行いそれ自体への恐れとはまた別の感情もあることがわかった。美波があの光景を見ていたらと考えると、背中を寒気が走り抜けたような感覚をおぼえた。それと同時に、アナスタシアは自分だけが感じる寒気におののいた。死を躊躇しないあの態度。それがある一点を越えたら自他の区別がなくなってしまうのではと、アナスタシアは漠然と感じている。一線を越えた先には帽子を被った男がいる。

 冷風がうなじにあたり、アナスタシぶるっとは身震いをした。髪を二つ結びにしていたから冷たさが首の後ろにまともにぶつかった。ひとりきりの静寂が守られていた教室にクーラーのゴォッーという作動音がおおきく響いた。



618: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/07/08(日) 20:23:48.96 ID:Wqc3ZOPPO

 教室に入ってきたのは友達とはいえない距離間のクラスメイトだった。彼女はアナスタシアを見て、一瞬驚いたように口をすぼめてからおはようと言った。それから「すごく早いね」とそのクラスメイトは続けた。

 アナスタシアは「うん」とだけ応えた。理由を説明することはむずかしかったからだ。さいわい、相手は追及するつもりがなく自分の席にスクールバックを置いた。

以下略 AAS



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