615: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/07/08(日) 20:18:29.01 ID:Wqc3ZOPPO
学校に行くことに、母親は懸念を示した。母親はそれが過敏な態度だとは自覚していたが、亜人のことがひどく取りざたされている現状で、娘が突然消息を絶ち、その間に亜人が殺戮を引き起こし、その亜人は殺戮は一過性のものではなくこれからどんどん拡げていくと宣言したのだから、アナスタシアが亜人だと判明した直後の周囲への疑心暗鬼と不安がぶり返してしてたとしても仕方のないことだった。
母親は(父親にも祖父母にもいえることだが)アナスタシアが亜人だと発覚してから、むしろ娘の安全にこれまで以上に気を遣いだした。車の行き来の激しいところでは痛いくらいに手を握りしめ、川の流れを覗き込もうと橋の欄干から身を乗り出そうとすればまるで連れ去ろうとでもするかのようにきつく抱き締めた。成長するにつれ、アナスタシアは家族のそうした態度にうんざりすることが多くなった。
あるとき、母親のふとした注意に愚痴ったときの表情はいまでも忘れられない。
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