新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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489: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 23:10:04.59 ID:rkcK97lyO

佐藤「あ」


 ショットガンから弾は発射されなかった。佐藤は最後の一本になったスピードローダーに手をかける。一方、SATの最後の生き残りは、レッグホルスターから拳銃を引き抜き、銃口を腹にあて弾切れになるまで撃ち続けた。佐藤の身体にいくつも孔が開き、スピードローダーを持つ手がだらりと垂れ下がった。
以下略 AAS



490: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 23:12:38.78 ID:rkcK97lyO

 戦闘に決着がつき、グラント製薬があった場所に静寂が戻った。

 佐藤は煙が流れるヘルメットからショットガンを引き抜いた。支えを失った死体が膝から真っ直ぐ下に落ちる。死体は背をまるめながら前方に倒れると、ケブラー製のヘルメットが地面を転がった。十二ゲージの散弾を内側から食らったヘルメットは、頭頂にあたる部分が大きく破れていて赤かった。ヘルメットと死体の首は、赤色の線で繋がっていて、それはどことなく臍帯を連想させたが、実態はまるで違っていた。その線は地面に染み付いていた。

以下略 AAS



491: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 23:15:08.39 ID:rkcK97lyO

 道路では、まだ悲鳴がこだましていた。激しい戦闘音が轟いたせいで、怪我人たちのパニックがぶり返したためだった。このせいで、救急隊員たちの仕事は依然として進んでいなかった。

 佐藤は散歩の帰り道のように悲鳴の中を歩いていった。そのとき、車列のあいだを抜けようとする佐藤を呼び止める声が耳にとどいた。

以下略 AAS



492: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 23:16:59.86 ID:rkcK97lyO

佐藤 (空っぽー……)


 佐藤はまた左手にショットガンをぶら下げ、その場から去っていった。
以下略 AAS



493: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 23:19:05.16 ID:rkcK97lyO

旅客機からヘリの墜落までの一部始終をモニターで見ていた亜人管理委員会の面々は、蒼い顔をして脂汗を滲ませて押し黙っていた。
 起こってしまった出来事の酷さがそうさせていたのだが、これから起こるであろうことへの恐怖も、彼らの彼らの心の奥底に混じっていた。
 戸崎だけはモニターの前に立ったまま、変化のないような態度をつらぬいているように思えた。その戸崎がわずかに肩の力を抜き、口を開いたのは、墜落した報道ヘリが爆発を起こした直後のことだった。

以下略 AAS



494: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 23:35:44.91 ID:rkcK97lyO
今日はここまで。

今回更新した分を書いてて思ったんですが、このクロスオーバー、アニデレ側の負担がもの凄い。クロスオーバーだからと両者を同じ場面に登場させると、片方がテロリストだから周囲は大抵死人でいっぱいという有り様で、なんだか申し訳ない気持ちになってきます。

ていうか、ラブライカへの負担が凄い。アーニャに至っては肉体的にもひどい目にあってるし……。
以下略 AAS



495: ◆AyvLkOoV8s[sage]
2017/10/24(火) 00:16:37.35 ID:HnBxbFIl0
おつー

亜人の映画は、アニメもそうだけど佐藤の倒し方というか決着のつけ方をちゃんと書いてるのが良かった
バトル重視でストーリー面は削ってるみたいだけど、ちらちら見える映画オリジナルのエピソードはあれはあれで見てみたいなと思わされた

以下略 AAS



496:名無しNIPPER[sage]
2017/10/24(火) 20:16:00.08 ID:3l3zizC80

クロスが亜人な時点で誰かが酷い目にあうのはわかるから問題ないです
永井は積極的に人に危害を加えるタイプじゃない気がするから多少酷い事する奴にしないと漫画と同じ道辿っちゃいそうだし



497: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/25(水) 22:43:51.94 ID:9edaZuJ/O
〉〉495
偶像喰種の作者の方からレスがいただけとは。大変励みになる言葉、ありがとうございます。しかも、前作から読んでくださってくれてるとは……めっちゃうれしい。

お書きになられたアーニャのssもとても素敵でした。

以下略 AAS



498: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 22:57:45.13 ID:OBzab0O/O
永井が雑草の葉っぱと根の境目のちかくの茎を掴んで引っこ抜くと、土の中に根を張り巡らせているこの植物はさっきまで充実感をともなってむしっていたイネ科のそれと違い、筋ごとに根が出て地面に食い込んでいるので、抜いても筋のところで千切れてしまい、抜くというより千切るとかもぎ取るとかいう感じばかりがするので、永井は、はかがいかなくなってくるのを感じた。

 雑草はとなりの畦道から勢力をのばしているようで、永井は軍手のなかをしっとりと汗ばみながら、長い茎や尖った葉を持った何種類もの雑草を抜いていっていた。田んぼで育ったシオカラトンボの群れが作業をしている永井のまわりを飛びまわった。

 永井は茎から下がない短く尖った葉を、抜き終わった雑草を山にしているところに捨てにいった。山になっている雑草はどれもシャーっと伸びたやつばかりで、この種類のものは葉っぱ自体は派手に長く伸びて広がっているが、根はひとつしかないので簡単に抜けてしまうのだった。


499: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 22:59:32.38 ID:OBzab0O/O

永井は葉から手を離したあと、曲げていた腰をもとに戻し、さっきまで草むしりをしていたところを見た。

 太陽が燦々とよく照って、雑草といえども光をたっぷり吸った葉っぱは緑にかがやいていた。あいまにある草をむしったところは掘り返された土が黒っぽい茶色を露出していた。永井が担当していた場所は緑と焦げ茶のまだらになっていて、抜きやすい種類の草ばかり抜いていたことを示している。そして、かがやく葉っぱはどれも短く尖ったかたちをしていた。

以下略 AAS



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