499: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 22:59:32.38 ID:OBzab0O/O
永井は葉から手を離したあと、曲げていた腰をもとに戻し、さっきまで草むしりをしていたところを見た。
太陽が燦々とよく照って、雑草といえども光をたっぷり吸った葉っぱは緑にかがやいていた。あいまにある草をむしったところは掘り返された土が黒っぽい茶色を露出していた。永井が担当していた場所は緑と焦げ茶のまだらになっていて、抜きやすい種類の草ばかり抜いていたことを示している。そして、かがやく葉っぱはどれも短く尖ったかたちをしていた。
永井はうんざりしながらしゃがんで草むしりを再開した。掘り返された土の中から透き通った翡翠のような緑をしたクモの幼生が天災から逃げるように走っていった。永井はクモの行方を眼で追いながら草をむしった。ぶちっという感触が軍手越しにつたわり、見ると、またしても尖ったかたちの草だけが手のひらに収まっていた。
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