500: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 23:03:10.52 ID:OBzab0O/O
永井「ひー」
永井は悲鳴に似たため息をもらし、腰をかがめて作業をしている山中のおばあちゃんに目をやった。おばあちゃんは黙々と、草取りレーキを振って土の中の根っこを掘り返していた。永井はおばあちゃんの曲がった背中に話しかけた。
永井「雑草なんて抜いても生えてくるんだからほっとけばいいんじゃないの?」
山中「無駄だとわかっててもやるの! それが男ってもんだよ」
永井「あそう」
返ってきた答えに前時代的な価値観を感じつつ、永井はまた草むしりをはじめた。
雑草のサイズにたいして七倍くらいの面積を掘り返し、それを三回繰り返したあと、永井は玉になった額の汗をタオルで拭った。瞼にかかる汗も拭う。
瞼からタオルをのけると、すこし離れた道のところにいる老人ふたりがこちらを見ているのに永井は気づいた。
永井「こんにちはー」
永井はにこやかな声をつくってふたりに挨拶した。
呼びかけられた老人たちは肩をビクッと震わせ、慌てた様子で立ち去っていった。
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