492: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 23:16:59.86 ID:rkcK97lyO
佐藤 (空っぽー……)
佐藤はまた左手にショットガンをぶら下げ、その場から去っていった。
取り残された美嘉は、しばらくのあいだ瞬きもせずに突っ立っていた。
莉嘉「お姉ちゃん!」
姉を見つけた莉嘉が大声をあげながら駆け寄ってきた。救急隊員が頭を怪我した運転手のところにようやくやって来て、治療をはじめたことを伝えにきたのだった。
美嘉は妹を見たとたん、なにかを言おうと口を開けたが言葉は出てこなかった。息をうまく吐き出せず、片手で口を覆うと膝からすとんと落ちていった。同時に、涙が一筋瞳から零れた。
莉嘉「お姉ちゃん!?」
莉嘉の呼び掛けに美嘉は反応を見せず、ただ小刻みに身体を震わせていた。叫喚はまだ続いていて、歯をカタカタ鳴らす美嘉の震えはまるで周囲と共鳴するかのように次第に大きくなっていった。
一機の報道ヘリがコントロールを失い、錐揉みしながらビルに追突した。爆発と炎上がふたたび起こり、叫喚はそれを栄養に、より一層大きなものとなっていった。
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