379: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:06:19.90 ID:jvW3su8lO
永井「それって契約外の業務ですよね」
プロデューサーから講師代理の件を聞かされたとき、永井はそう言った。
380: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:08:00.35 ID:jvW3su8lO
永井が講師を務めることについて、シンデレラプロジェクトのメンバーたちの心持ちは不安がかなりの割合を占めていた。それは永井の能力への不安ではなく、アナスタシアが評した永井の人物像が原因だった。
彼女たちは永井と仕事のうえで付き合いはあったが、親しくはなかった。はじめは美波に話を聞こうとしたものの、亜人を巡る一連の事件で味わった苦悩と心労から解放されたためか、ちょっと度が過ぎるほど褒めちぎるので参考にはならなかった(そもそも九年間はなればなれに暮らしていたうえに、アイドルとしての活動にまったく興味がなかった弟が自分とおなじ職場にいてはやくも成果をあげているのだから、美波としてはうれしさに満ちた気持ちを所構わず話したくてしかたなかった)。
381: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:11:14.56 ID:jvW3su8lO
アナスタシア「アー……あとはフツウだと思います」
卯月「それは普通って言えるんですか?」
382: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:13:30.48 ID:jvW3su8lO
いちばん最初にプリントを終えたのは双葉杏だった。杏はいきなり十ページ目の最高難度の問題を解き、すべて正解していた。
永井「双葉さんは自習で大丈夫」
383: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:15:06.31 ID:jvW3su8lO
永井は手が止まっているメンバーを見つけると、苦戦している問題を一瞥してから参考書のページ数を教えた。言われたとおり参考書を開くと、そこには問題を解くのに必要な基礎的な知識や解法、公式が書かれていて、たしかに学習の役に立つのだが、数学が不得意な者にとっては読むだけで完璧に理解ができるといったわけでもなかった。
しかし永井の口調はそっけなく、これ以上のヒントや解説をもらうのを躊躇わらせるものがあった。
384: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:20:54.67 ID:jvW3su8lO
おかげで過度な緊張感は次第になくなっていったが、今度は量の問題が現れ始めた。課題の多さのせいでメンバーたちの脳に疲労が積み重なっていたのだ。
かな子「あまいものがたべたい……」
385: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:24:50.82 ID:jvW3su8lO
メンバーの疲労の色の濃さを見てとって、永井は彼女たちの机の上に円筒型のプラスチックケースを置いていった。白い容れ物には青いラベルが貼られていた。
みりあ「これ、なに?」
386: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:26:37.34 ID:jvW3su8lO
アナスタシアはここまで急いで走ってきたのか息を切らしていて、呼吸をするたびに学校指定の白い半袖ブラウスの襟ぐりと、そこに結ばれた青いチェック模様のリボンが揺れていた。アナスタシアはまっすぐ永井にむかって大きな早足で近寄ってきた。
アナスタシア「これは、この写真は……アレです。アレなんですよ、ケイ……」
387: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:28:37.84 ID:jvW3su8lO
アナスタシアは写真集のページをばっと開いて永井の眼前に突きつけた。
永井「これが?」
388: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:31:42.49 ID:jvW3su8lO
美波「えっ……よ、読むの? 圭」
永井「印刷のミスとかがないかチェックしないといけないし」
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