39: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:34:01.70 ID:pULMqkzL0
◇
"ブラッド"がフライアから極東支部へ、一時的に拠点を変更した際の変化が一番大きいのは、活動環境だろう。
フライアにいる頃に経験した任務は、所謂実地訓練の延長線上で、
極端な事を言えば、ただアラガミを討伐するだけでいい場合が多かった。
40: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:35:54.64 ID:pULMqkzL0
対する"ブラッド"はというと、結成からこっち、隊員同士の仲はそれなりだけど、
若手4人、ベテラン2人で構成された急造チームという感が未だに拭えない。
隊長のジュリウスがアラガミ討伐以外の公務に手を取られがちな以上、
副隊長の私が彼らの仲を取り持たなきゃならないんだけど、具体的な方法がいまいちわからず、手をこまねいていた。
41: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:39:44.96 ID:pULMqkzL0
◇
支部の厚意で"ブラッド"の歓迎パーティーが開かれている最中、
私はいつの間にか会場から行方を晦ましていたギルの行方を追っていた。
というより、それを口実に会場から抜け出した。
42: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:42:47.40 ID:pULMqkzL0
◇
極東支部の歓待ムードも終わり、幾らか通常任務もこなすようになった頃、シエルから朗報があった。
"ブラッドバレット"。
"ブラッドアーツ"同様、"血の力"による影響が神機に変異をもたらしたものらしく、
43: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:51:04.74 ID:pULMqkzL0
◇
エイジス島の調査に向かっていた第一部隊から、"ブラッド"へ緊急の救援要請が着た。
エイジス島は極東支部の南側に位置する孤島で、3年前までは巨大シェルターに全人類を収容し、
アラガミから恒久的に守護する"エイジス計画"の舞台として注目を集めていた。
44: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:54:22.71 ID:pULMqkzL0
◇
エイジスでの救助作戦以降、ギルはどこか思い詰めた様子を見せ、立ち回りの精度も鈍るようになっていた。
普段から口数が少なく、人を避けがちな彼だけど、任務にまで不調をきたす今の様子は明らかにおかしい。
それに――
45: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:58:05.47 ID:pULMqkzL0
――ハルオミさんの妻であり、ギルにとっても大切な人だった、ケイト・ロウリー。
人手の足りないグラスゴー支部の仲間のため、数度の引退勧告を無視してでも神機使いを長年続けてきた彼女は、
件の赤いアラガミとの戦闘をきっかけに身体が活動限界を迎え、暴走したオラクル細胞の浸喰……アラガミ化が始まってしまう。
それを善しとしなかった彼女は同行していたギルに介錯を請い、葛藤の果て、彼は自ら手を下した――
46: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 23:10:35.78 ID:pULMqkzL0
◇
ハルオミさんからの頼みもあり、私は多少強引にでもギル喰らいついていくことを決めた。
当然ギルからは反発されたけど、それについては後から来たハルオミさんが執り成してくれた。
彼が極東に来た目的もまた、赤いアラガミと決着をつけることで、その柵から自分とギルを解き放つことだった。
47: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 23:15:02.60 ID:pULMqkzL0
近接攻撃を弾いた隙を突き、赤いアラガミの右腕がギルの胴体を直撃する。
壁際まで吹っ飛ばされたギルにアラガミがにじり寄ったところで、ヤツの頭部に弱点属性である雷バレットが撃ち込まれた。
苦しみつつも振り向くと、そこには何の変哲もない壁があるのみ。
呆気に取られたアラガミの側頭部にまたも雷バレットが撃ち込まれ、ヤツの頭部が結合崩壊を起こす。
48: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 23:19:29.09 ID:pULMqkzL0
一瞬の油断を突いた刃の切り上げと共に、私の神機が払いのけられる。
万事休す。でも、せめてギルが乗り越えた姿を見届けるぐらいは――
「ここで諦めるわけには、いかねぇんだよっ!!」
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