42: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:42:47.40 ID:pULMqkzL0
◇
極東支部の歓待ムードも終わり、幾らか通常任務もこなすようになった頃、シエルから朗報があった。
"ブラッドバレット"。
"ブラッドアーツ"同様、"血の力"による影響が神機に変異をもたらしたものらしく、
バレットのモジュール部分に特殊な効果を付与する"変異モジュール"が、その要となっている。
シエルが"血の力"に目覚めた後、私との任務に同行した際には、
既ににその兆候があったようだけど、しばらくの間実現に至ることはなかった。
極東支部に着いてからは現地の整備班の協力により、"喚起"と"ブラッドバレット"の関係性が実証できた代わりに、
今度はバレットエディットに組み込む際、必須項目である"変異モジュール"の抽出が難しいという問題に直面していた。
そこで私が気休めに何気ない一言を発したところ、それが彼女にとって重大なヒントとなったらしく、
こうしてバレットエディットにも活用できる、完全版の"ブラッドバレット"が完成した。
完成報告の際、感極まったシエルに抱き着かれる。二度目だった。
命令に付き従うだけの日々を送ってきた過去から、絶対性のあるものを信じ、ギル達と衝突していたシエル。
そんな彼女も"神機兵"護衛任務以降、それ以上に大切なものを知り、過去から解放された。
冷たい印象を与えてしまう、堅い言葉遣いと無表情を除けば、元から決して悪い性格ではなかったシエルだけど、
ここ最近の彼女は本当に活き活きしている。
人付き合いが苦手な私だけど、"ブラッド"に配属された今が楽しいと言ってくれて、
もっと皆の役に立ちたいとはしゃぐシエルの姿を見ていると、"喚起"の"血の力"を持つことも悪くないかな、と思えてくる。
――自分の素性はひた隠しにしているくせに、都合のいい。
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