41: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 22:39:44.96 ID:pULMqkzL0
◇
支部の厚意で"ブラッド"の歓迎パーティーが開かれている最中、
私はいつの間にか会場から行方を晦ましていたギルの行方を追っていた。
というより、それを口実に会場から抜け出した。
賑やかなのは嫌いじゃないけど、疲れる。
そんなわけで、ロビーにでも行って寛いでおこうと向かってみると、口実の彼はあっさりと見つかった。
どうやらギルも、私と似たような理由で逃れてきたらしい。
何となく話しかけてはみたものの、会話は双方、どこかぎこちない。
私が変に緊張して、しどろもどろになっているせいもあるけど、どうも彼は深い関係を持つことを避けている気がする。
変な意味ではなく、単純にチームの仲間としての。
微妙な雰囲気のまま会話が途切れようとした時、
「おお、ギル!ギルじゃないか!」
上方から声が降ってきた。
真壁ハルオミ。
極東出身ながら、以前はギルと同じく、グラスゴー支部の神機使いとして活動していた。
後でギルから聞いたことだけど、神機使い歴11年にして、年齢は28歳。
年齢による身体機能の衰えから、オラクル細胞の制御が困難になる問題もあるため、人間が神機使いとして活動出来る範囲は限られている。
そうした側面から考えると、彼はかなりの長寿だ。
性格は捉えどころがなく、飄々としているけど、ギルの操縦役を自称するだけあり、
少し話すだけでも、彼を自分のペースに巻き込んでいた。
同郷の先輩との再会にギルもどこか嬉しそうで、普段見せないような表情をする場面もあった。
気心の知れた相手だからこそだろうか、意外さと共に、少し妬けてしまう。
ただ、そんな中でも、ギルの表情が段々沈んでいくのが見て取れた。
小話の後、ハルオミさんは任務へ、ギルは自室へ、それぞれさっさと出て行ってしまったので、私は1人取り残される。
ちょっとした疎外感を覚えつつも、パーティー会場へ戻ることにした。
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