48: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/17(月) 23:19:29.09 ID:pULMqkzL0
一瞬の油断を突いた刃の切り上げと共に、私の神機が払いのけられる。
万事休す。でも、せめてギルが乗り越えた姿を見届けるぐらいは――
「ここで諦めるわけには、いかねぇんだよっ!!」
――復活したギルが、叫ぶ。
右腕を振り上げ、私の腹を引き裂かんとするアラガミの右肩口を、ハルオミさんが正確に撃ち抜いた。
アラガミが怯み、私は背後からギルが駆けてくるのを確認する。
先ほどバレットを撃ち込まれたヤツの右肩を視認して、瞬時に閃いた。武器がないなら借りればいい。
地面を蹴って飛びあがり、銃撃によって少し抜けかかっていたケイトさんの神機を、渾身の力で蹴り込む。
神機は深くアラガミの古傷に食い込み、動きを止めることに成功した。
後は仕上げだ。
ヤツの眼前にまで迫ったギルが槍先を突き出し、神機が生成したオラクルの気流に乗る。
「届けぇぇぇっ!!」
気流は突風となり、ギルごと神機を打ち出す。
赤い波動を纏う弾丸となったギルは、そのままアラガミの肉体を穿ち、自らの因縁に終止符を打った。
戦いが終わり、倒れ込みそうになるのを抑えつつ、
初めて"血の力"を使ったことで、疲労困憊になっているであろうギルを助け起こしに向かった。
最初は払いのけられるかと思ったけど、彼は差し出された手をしっかり握ってくれた。少しドキッとする。
立ち上がったギルが私に見せた表情は、前を向いて歩き出したことを証明するような、晴れやかな笑みだった。
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